コラム 華麗なるデュアルライフのはずが……コロナ禍で崩壊した34歳の二拠点生活~その1~

都心の華やかな暮らしと、のんびりとした田舎暮らしを行ったり来たりで味わえるデュアルライフ。政府の働き方改革の旗振りもあって、メディアでも「憧れの生き方」としてたくさん取り上げられました。「それで生活が成り立つなら、自分もやってみたい」と思った女性も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介する畠田奈津美さん(仮名・34歳)もそのひとり。そしてその生活を実現させました。しかし、今は「東京に軟禁状態で、もうひとつの拠点にはまったく行けていない」と言います。

「今度こそ、7月の連休から行こうと思っていたのですが、東京の緊急事態宣言がまた発令になってしまい……絶望しました。“暮らす”となると、現地のご近所の目もありますし。デュアルライフって暮らす家がふたつあるってだけなのに“そこに家があるから帰る”が通用しないんですよね」と肩を落とします。

デュアルライフの始まりは失恋から

島田さんがデュアルライフに乗り出したのは、コロナ前の2019年の夏。「ちょうど、結婚に焦ってあくせくする自分が、カッコ悪く感じ始めていたタイミングだったのもあり、自分の生きる道はこっちだ!ってピンときた」のだそう。

短大卒業後、海外高級アパレルブランドの日本支社で、ショップ店員として12年働いていた畠田さん。「役職にもついたし、仕事そのものに不満はなかったのですが、残業も休日出勤も多い職場で。常連さんとして出会った恋人にもフラれて、もう疲れてしまって……。もう、ダメだと。いったん人生をリセットするためにも、失業保険の期限が切れるまで、旅をしながら住みたい街を探そう」と思ったそう。

彼と同棲していた部屋を解約し、一度実家に戻って住民票を移したあとに、旅の始まりとして訪れたのが沖縄。「一度も行ったことがなかったし、リゾートといえば沖縄!というイメージがあったので、まずそこでのんびりしようと。でも、思ったのとはちょっと違ったんですよね……」と畠田さん。

「自分が想像していた以上に、けっこうな都会だったんですよ(笑)。東京で例えるなら、新大久保?みたいな。これだと、大して東京にいるのと変わらないなぁって思っちゃったんです。

まぁ、確かに海はきれいですけど、日焼けはしたくないから、わざわざ泳ぎに行くっていう気持ちにもなれないし。そもそも、現地の人ってほとんど海で泳いだりしないですからね。島一周、車でぐるっと観光したら、もうやることがなくなってしまって(笑)。

滞在には、生まれて初めてゲストハウスっていうところを利用しました。個人のスペースは6畳程度の部屋に押し込められた二段ベッドのひとつ分。同室の子は“リゾバで来たら、そのままラクだから居ついてしまった ” っていう、キャバをやっている子たちで、話は面白かったんですが、一生、分かり合えないな……って思いましたね(笑)。その子たちは20代で、まだまだ可能性いっぱいだから全然いいだろうけど、これから自分が目指す生き方ではないなって。ここにいたら、流されてしまうって、ちょっとした危機感が芽生えました」。

離島で訪れたデュアルライフの転機

それでも、1か月滞在したという畠田さんは、その後、沖縄から別の県にある離島に飛んだそう。「そこは、ちょっとした観光バブルになっていて、おしゃれなお店とかも増えているし、若い子たちの移住も多いって聞いてたので、一人旅でも楽しいかなって思ったのが理由です。

実際、楽しかったです。そこでも滞在はゲストハウスだったんですけど、長期滞在で、その宿の主みたいになっている男性が本当にいい人で。その人を中心に、みんなが仲良しで、DIYでベンチを作ったり、敷地内をカフェっぽくして、手作りのケーキや本格焙煎したコーヒーを売ったり、例えるなら、高校の文化祭みたいな日々でした。ちょっとした恋心も芽生えちゃったりして、私は女子高だったので、少女漫画や新海誠監督のアニメ映画の世界にあるような、“共学ならではのノリ ” とか青春のキュンとした感じが最高に気持ちよくて(笑)。ホント、楽しかったんです」

なのに、そこに拠点を据える、という気持ちにはならなかったそう。

「みんな、本当にいい人たちだったんですが、考え方が、エコロジカルだったり、ナチュラリストだったり、はたまたスピリチュアル方面に傾倒してたり。都会の暮らしを嫌悪して、だから自分たちはこの地を選んだ、っていう意識の高さが、言動からにじみ出ていたんです。私のように都会自体は大好きで、トッピングとして田舎暮らしも楽しめたらっていうタイプとは、根本の部分でまったく違う。そこがちょっと居心地が悪かったんですよね」

そんな畠田さんはその後心におおきなもやもやを抱えてしまいます。

「2か月過ごしてある意味満喫しましたし、都会の喧騒も懐かしくなって。ただ、島も好きだし、そこの人も好き。もっとハマって“ここが私のアナザースカイ”って言いたい!っていう気持ちもあって……(笑)。気軽に行き来できたらいいのに、と思っていたところに、チャンス到来!だったんです」

なんと、知り合いの知り合いを介して、畠田さんにタダで部屋を貸してくれるという人が出てきたそう。

「その人はもともとは関西の人で、別荘みたいに使っていた部屋を島にもっていたんです。で、“自分は来島するときにはホテルに泊まるし、掃除とかしてくれるなら、ボロ部屋だけどタダで使っていいよ ” って。これは千載一遇のチャンスだと思いました。これは逃しちゃいけないやつだって思って、お願いします!って即決めちゃったんですよね(笑)」

本人曰く、「そのときは、どうせ、先々のこと考えても不安しかないんだから、なんかあったらそのときに考えればいいや、と思ってたんです。が、その後のトラブルの度合いは、想像を超えていましたね。デュアルライフって……本当に大変です(笑)」

デュアルライフに夢膨らませる畠田さんを襲ったデュアルライフの落とし穴とは……。その2に続きます。

パソコンとWi-Fiさえあればどこでも暮らせる…わけでもない



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