30代の独身女性が「結婚はしたいと思うけど、なかなか、ねぇ…」なんて言えば、「理想が高すぎるんじゃないのぉ?」と揶揄されたりするわけですが、本人たちはそれに納得しかねる、という現象があちこちで起こります。
しかし、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査では、25歳から34歳のいわゆるアラサー世代が「独身にとどまっている理由」として、51.2%が「適当な相手と巡り合えない」ことを上げています(複数回答)。このデータを見る限り、ふたりにひとりが「高望みしている」となりそうです。
「適当な相手と巡り合えない」が、理由1位だけど…
「適当な相手」の「適当」は、「自分にとっての理想」です。「4低 (低姿勢・低リスク・低依存・低燃費) 」も「3平 (その年代の平均程度の年収で、平凡な外見で平穏な性格) 」も「3生 (生存力、生活力、生産力が高い)」 なども、本人にとっての理想の相手の形となります。
そして、これが…意外と存在しないんです。例えば、低姿勢であっても依存度がやたら高いとか、年収、外見は平均・平凡でも、性格がモラハラちっく…なんてことが多々。さほど難しい条件ではないのではといった項目でも、3つも4つもキレイに揃う人ってなかなかいないんですよね。
希少で簡単には手に入らないものを求めている時点で「高望み」となってしまうのです。
複数の条件のうち、「絶対外せないもの」を軸にして、あとは薄目で見たとしても、程よくバランスを保っていることが大事なわけで…と、考えれば考える程もやもやするんですが、その理由って「相手ありき」だからなんですよね。
知人に「例えば相手の収入が低かったら自分が稼ぐか節約すればいいし、一緒にいて居心地がよければ誰でもいい。ホントはコロナが終わったらまた世界中をひとり旅で巡りたかったけど、これも運命」と言って、妊娠を期にひとまわり年上の男性と結婚した27歳の女性がいますが、そのくらいの自己完結が必要なのかもしれません。
上の調査の「独身にとどまっている理由」 の2位以降は「自由や気楽さを失いたくない」(31.2%)「必要性を感じない」(23.9%)「趣味や娯楽を楽しみたい」(20.4%)となっていて、いわゆる「結婚することによる不自由への不満」も見てとれます。これらは「結婚できないのではなく、しない派」女性の主流の意見といえましょう。これはこれで自己完結した上での「前向きな拒否」ですから、何ら口出しすることもありません。
しかし、今回のリサーチの選択肢にはありませんが、「嫁・妻・母になれる自信がない」という女性も多いようなのです。

体力的に仕事と家事の両立が自分には無理そう
「仕事が好きとか、もっとキャリアアップしたいとか、決してそういうことではないんです。ただ、毎日、起きて仕事に行って、帰ってきたらぐったりという生活なので…。疲れすぎてお風呂に入る気力すらない日もあるくらいです。休日も、たまにはおしゃれして出かけたいと思いますが、基本的にはグタグタ。
そうやってなまけながら英気を養って、ようやく仕事ができているっていうこの状態で、結婚してちゃんと家事をする…とか、絶対に無理だって思っちゃうんですよね。だから、婚活も、お相手といい感じになっていくと、怖くなって、どんどん逃げ腰になってしまう自分がいます」(34歳 不動産会社勤務)
理想の「かわいい妻」になれる素養がない気がする
「今ひとり暮らししている部屋は仕事部屋も兼ねていることもあって、“その場で手を伸ばしたらすぐに欲しいものが取れる”っていう、自分にとって快適な状態になっているんです。かつ、家にいるとき、自分はほぼハダカ。ノーメイクの顔も髪型も、そしてパソコンに向かっている姿勢も、他人に、とくに自分の好きな相手になんて絶対に見せたくない感じ。どんなに私が好きだと言ってくれる人でも引くと思います。だって、自分ですら引くことがありますから(笑)。だからといって、常に“きちんと”するのは、窮屈なんです。好きな人となんて暮らしたら、自分の城なのにくつろげなくなることは目に見えてます。
外でデートするときはもちろん、部屋に男性を呼ぶときにも、嫌われないように意識しています。言ってみれば“気取っている”わけで…。外ヅラを作りすぎていることは理解していますが、それも私にとっては私の大切な一部なんです。別居婚なら…なんて考えることもありますが、そんなことを受け止めてくれる人がいるとも思えなくて。理想はいつまでもずっとラブラブな夫婦なんですけど、夫がイチャチャしたくたくなる、“かわいい妻”になれる自分がイメージができないんですよね」(35歳 フリーランス )
強く「結婚しない」とか「できない」と思っているわけではないけれど、結婚によって新たにつく肩書きがしんどそう…」、そんな思いを抱えている30代女性の話を引き続きご紹介します。 後編に続きます。