コラム 【もやもや】「義父介護で引退はウソ」でホッとしつつも頭から離れない、働く女性の「親介護」問題~その2~

――いちばん辛いのは何ですか。

「不思議なもので、苦手な父の世話をするということについては、すぐに自分の中で落とし所がついたんです。むしろ、あんなに強かった父がひとりで何もできなくなってしまって本人も悔しいだろうと気の毒に思えたし、ひとつひとつ、できることが増えてくると嬉しいという気持ちにもなりました。ただ、介護中心の生活がいつまで続くんだろうと考えると途方に暮れます。でも、終わるときには父がこの世からいなくなるとき。だから、それを望む自分は絶対に許せないんです。とはいえ、子どもも近い将来欲しいと思っていたし、でも、姉を見ていたら子育てと介護の両立なんてできると思えない。どうしていいかわからないという状況が一番辛いのかもしれません」

 ――それが少しでも解消するには、どうしたらいいのでしょうか。

「よくわかったのは、必要なのは愚痴を聞いてくれる相手ではなくて、知識や知見があって指南してくれる人だということ。介護をすることになって、いろんな方から“ひとりで抱え込まないで相談して”“何もできないけど愚痴なら聞けるから、おいしいものを食べに行こう”と励ましていただいたんですが、気晴らししても、父の状況は変わらないんです。実際に何をしたらどうなったのか、服用している薬の副作用で引き起こされていることはないかなど、わからないことを教えてくれる人が本当に頼り。父と同じ症状の方を介護している人たちのコミュニティサイトもすごくお世話になっています。今までで一番、インターネットのありがたみを感じたといってもいいくらい(笑)」

 ――希望は持てていますか。

「さっき、どうしていいかわからないのが辛いって言いましたが、もうひとつ、どうなるかわからないっていうことにすごく不安を感じます。だから、病院で介護しながら施設探しに奔走した半年がすごく辛かったんですよね。おかげさまで施設が見つかって、スムーズに移転できて、そこで少し、混乱していた自分に冷静さが戻ったのかも。これから容体がどうなるかもわからないけれど、毎日泣いたり、人に猜疑心を抱いたり、自分が介護うつになっちゃうんじゃないかと本気で恐怖したりという時期は越えられた気がします。自分が幸せでいなくちゃ父を恨んでしまうかもしれない。そう思わないためにも幸せにならなきゃ、とも思えるようになってきました。だから、私は、大丈夫かなって。でも、仕事は辞めないほうがいいと思います。やっぱり、稼いでないと肩身が狭いです。主人のお金を使わせていただいていると思うと、彼が散財していることについても強く言えないし。収入がヘルパーさんを頼む分、完全持ち出しになったとしても、私は仕事に戻りたい。でも、主人は自分が上に立てる今の状況が気に入っているみたいで、いい顔しないんですよね……。ささやかな悩みですけど(笑)」

もしも親が要介護になったら…とやみくもに震えていても仕方がありません。なるかならないかはわからないし、こればっかりは防ぎようがない。自分のちょっと先の万が一のための貯金だってままならないのに、親の介護費用のことまで考えなくてはいけないとなったら、生きること自体がしんどくなってしまいます。小早川さんも「介護のために貯金を切り崩していく状況もどんよりした気持ちを増長させる。目減りしたとしても増える要素はある、稼いでいる、というのは希望になる」と言っていましたが、その通りだと思います。介護のために仕事を辞めなくていい方法を、なにがなんでも考えましょう。みんなで。

 

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プロフィール

白玉あずき

東京都出身。清泉女子大学卒。学生時代より活字メディアに携わり、四半世紀にわたり女性のおしゃれと恋愛とダイエットについて考察、記事にする。現在は雑誌や単行本の編集、制作に加え、女性コンテンツのプロデュースやディレクションなど多分野で活動。最近の生きるテーマは社会貢献と女性支援。