金曜ナイトドラマ『奪い愛、冬』(テレビ朝日)が、働くアラフォーとアラフィフを熱狂にさせています。
物語は、ありがちで単純。同じ年のイケメン婚約者のいる働くアラサー、倉科カナさん演じる光が、死ぬほど愛した元カレとの再会で不倫愛に走っていく……というものなんですが、登場人物のキャラクター設定が全員、濃い。
これがアラフォーには大ウケで、「メインキャスト全員が常軌を失っている」「こんなに誰にも共感できないドラマは珍しい」「ひとりウチ飲みのアテにピッタリ。ゲラゲラ笑える」と評判なのです。文字にするとけなしているように読めてしまうかもしれませんが、こちら、間違いなく賛辞です。
一方、独身アラサーの評判はいまひとつ。
“『不機嫌な果実』のスタッフが再集結したドロキュンドラマ”という触れ込みに期待しつつ見てみるも、「ひと昔前の韓流ドラマだった」「水野美紀さんと大谷亮平さんの奇怪なベッドシーンは悪いが引いた」「昭和っぽい古臭い感じ」と早々に脱落した人も少なくありません。
エロさがほとばしっていた『不機嫌な果実』のイメージもあり、独身アラサーのみなさんはこのドラマに、“女性も安心して見られるAV”的な要素も大いに期待していたよう。実際は、ドロキュンなんてもんじゃなく、異常者てんこ盛りの猟奇ドラマでした。「エッチじゃなくて、そっちかよ……」とガッカリした部分もあるのでしょう。
とくにアラフォーに人気なのは、光と信さんがキスするロマンティックシーンに、学校にある掃除用具入れのような細い棚からバーンと飛び出してきて「見てるよーーーーーーーーー!」と飛び出してきた水野美紀さん演じる蘭さんの狂気っぷり。このシーンは星野源さんがテレビでマネたことでも注目されていましたが、「キーーーー―――――!」と言いながら光の頭をつかんで髪の毛をむしるシーンは『ずっとあなたが好きだった』の冬彦さんのようだし、何かっていうと「脚が疼くの……さすって……」と甘い声を出して絡んでくるのは『スチュワーデス物語』の片平なぎささんを彷彿させます。そうなんです、蘭さんはアラフォー、そしてアラフィーにとっては、なんだかとっても懐かしいのです。
他人事だからおもしろがれるオーバー35、近いからおもしろがれないアラサー