先日、出資法違反容疑で国際手配されタイで逮捕された山辺節子容疑者が、ちまたの女たちの心をざわつかせています。
現地では38歳、エリコと名乗っていたという62歳の彼女。サバを読むにも程がある、というのが大方の意見です。
リボン付きの細カチューシャを聖子ちゃんヘア(たぶんウイッグ)に乗せ、二の腕だけ隠す白の肩見せふんわりトップスにナマ足ショートパンツという逮捕時のスタイルも、「若作りが過ぎる」「アイドルのつもりか」「こじらせている」「気持ち悪い」とネットでも散々な言われよう。
こんな格好した38歳いねーよ、と吐き捨てた人もいました。いやいや、これとほぼ同じコーデにバッグを斜めがけにした女子グループが、ワイキキには団子になっていましたよ。まー、その子たちは20代でしたけどね。山辺節子容疑者の人生の時計は20代で止まっているのでしょう。
罪を犯した人に対して石を投げてもいいという群衆心理は、聖書の時代からあるものです。しかし、今回はやけにその石に弾力がある。彼女にぶつけたつもりで、勢いよくこっちに跳ね返ってくるんです。
テレビで和田アキ子さんが彼女の事件に触れ、「ババアがバカじゃないの!」と思わず口走ったものの、エンディングで「ババアって言ってはいけないね、失礼しました」と撤回していましたが、これもまた然り。
歳を取った女性が自分らしいオシャレを楽しんだり、若々しさを装ったりすることは、決して悪いとこじゃありません。むしろ、現代ではジェンダーや年齢の枷を外すべき! それが自由! という旗が振られています。それを揶揄したりなんかしたら、このご時世、なんとかハラスメントとかいってソッコーで足元をすくわれかねません。
だから、みんな、黙っていた。でも、みんな思っていた。歳を重ねることに恐怖し、もがき抗いながら若くあることにしのぎを削っている女たち(おばさん)を、イタいなー、イヤだなー、コワいなー、と。
その思いが山辺節子容疑者逮捕で大噴出。何を言っても今なら無礼講!ってことで、彼女を枕に、周囲の「若作り中高年」が突き上げにあっています。
やれ、あの人のスカートはいつも妙に短い、ヘアスタイルが夜の商売っぽい、彼女の肌の不自然なハリはフェイスリフトじゃなかろうか、まぶたの下垂手術したんだってよ、などなどなど。
その裏側には、「若作りしちゃって気持ち悪い。歳を取ってもあーはなりたくないよね、イタいよね」という上から目線があります。
でもさ、でもさ、でもさ、みんながみんな、『逃げ恥』で石田ゆり子さんが演じた百合ちゃんにはなれないし、天海祐希さんにもキョンキョンにもなれないわけですよ。
だって素材が違うんだもの。
かわいい路線でやってきた人間は急にカッコいい路線には変われない!?