コラム やっぱり右京さん!私たちが『相棒』にドはまりしてしまう理由〜その1〜

中毒性のあるキャラクター「主人公・杉下右京」

右京自身に感情移入はできなくても、彼の異彩を放つ捜査力や頭脳明晰ぶりに惹きこまれてしまうから!これに尽きます。時には我を通して独自の捜査を繰り広げる右京は、もし職場にいたらやりづらい仕事相手に違いありません。

ですが、事件を解決する主人公としては、ひときわ輝く存在感のある右京。それはかの名探偵シャーロック・ホームズのように、圧倒的な推理力で点と線を結んでいきます。

右京は東京大学在学中にイギリス留学の経験があり、卒業後はキャリアとして警察庁に入庁し、ロンドン警視庁の「スコットランドヤード」で3年間研修をしていたという設定。だから、シャーロック・ホームズと同じく、イギリス文化を感じさせる雰囲気があります。このあたりミステリー好きのポイントですね。

イギリスといえば紅茶ですが、右京は紅茶を好み、特命係に出勤してからもよく飲んでいますよね。ティーポットをかなり上の位置に掲げ、ティーカップへと紅茶をサーブする姿は、もう定番に。変わり者だけれど女性や子ども、弱き存在にはやさしくジェントルマン。そんな隅々までこだわり抜かれたキャラクターは、ドラマの世界観に奥行きを持たせています。

それと、右京の口癖の数々。理路整然と抑揚なく話しがちな右京ですが、事件の捜査をしている際、質問をしている相手に対して「最後に、もうひとつだけよろしいですか」と言って、質問が終わりだと油断させながら、去り際にもっとも核心をついた疑問を投げかけます。

他にも「細かいことが気になってしまうのが、僕の悪いクセ」と言いながら細かく捜査を追求し、楽しげにしているのです。これらが『水戸黄門』の「この印籠が目に入らぬか!」と同じような山場へのきっかけになるのです。決まり文句があることで、視聴者は解決に向かうのだと安心する側面もあります。

「何?この人変人だけど、すごく仕事できるし、女子どもには優しいし、ハラスメントとかしないし、いい人だし、困ったとき頼りになるし、最高じゃん!」と、右京のことを知れば知るほど味が出て、そのキャラクターの中毒になってしまうのです。

だから回を増すごとに右京にどんどん釘付けになっていき、リピートされる口癖を聞くと安心感を覚えてしまうのです。こういった形式美を堪能できるのも、ご長寿ドラマならではといえるでしょう。これほどしっかりとキャラクターが描かれ、抜群の安定感のある右京だから、たとえバディが誰になろうとも、揺るぎません。

とはいえ、この『相棒』シリーズは右京の魅力だけで支えられているわけではありません。裏でドラマを支えるスタッフも秀逸なのです。『相棒』は1話ごとに完結する構成で、度々脚本家や監督が入れ替わることがあります。いくら王道パターンがあっても、同じものばかりでは視聴者は離れてしまいます。視聴者を飽きさせないドラマを作るべく、裏にいるスタッフたちが切磋琢磨した結果が、高視聴率へと導いていることは間違いありません。後半では、さらに『相棒』に深みを持たせている、あの人たちに迫ります!~その2~に続きます。

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プロフィール

かわむらあみり

ライター/エディター/コラムニスト。 
大阪生まれ。出版社勤務後、ライター・エディターとして独立。編集者として担当してきた音楽やテレビなどのエンタメ、そして独身時代に婚活で約1000人の男性と会った末、13歳年下の夫と結婚して一児の母になった経験から恋愛や婚活、育児といった女性のライフスタイルに役立つ情報までを手がける。マガジンハウス「Hanakoママ」「anan web」でもコラム連載中。amirikawamura.com