仕事&マネー 働き方改革は今|うまくいかないのはなぜ?改革を主導する国の中枢にいた元キャリア官僚が思うこと〜その1〜

長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現。国を挙げて取り組んでいる「働き方改革」は、概要だけ見れば多くの人たちにとって歓迎すべきなのかもしれません。しかしその表面的な美しさの裏で、負担を強いられている人たちも多々存在するのが現実のようで……。

働き方改革の裏側で起こっていることを、今回は改革を主導している国の中枢で働いていた女性にお聞きしました。

「先日、『人気職業ランキング』のようなもので公務員がトップになっているのを目にしました。安定とかやりがいとか色々な理由が並んでいましたが、その中に“定時に帰れそう”の文字を見ると、まだそんな伝説を信じている人がいるのかって心底ウンザリします」

一口に公務員といっても、その種類や仕事内容は様々。今回話を伺った陽子さん(仮名)は40代前半で現在はとある民間企業に勤めていますが、以前は霞ヶ関にある某中央省庁で働いていた国家公務員。その中でも国家公務員一種試験(現在の国家公務員採用総合職試験)に合格した、所謂キャリア官僚と呼ばれるエリートでした。

「働き方改革という点でいえば、霞ヶ関って本音と建前の差が大きい代表的な職場のひとつだと思いますよ。だって彼らの『普通』は、働き方改革が目指すものとはかけ離れていますから。改革を主導する立場の人間の意識が追いついていないんです」

余計なことは言うまいという雰囲気で、言葉を慎重に選びながらその実態を語ってくれました。

霞ヶ関で働くキャリア官僚たちの「普通」とは

「働き方改革という言葉が出始めた頃も、関連法が施行され始めた2019年も、キャリア官僚の働き方はほとんど変わりません。

配属された部署によりますが、キャリア官僚は総じて激務。関連団体に出向している時期は日付が変わる前に帰宅していましたが、霞ヶ関時代は無理でしたね。

時期によって確かに差はあります、でもその波は小さいことがほとんどで、終電で帰れた日は『今日は早く帰れたな』って思っていました。ストレスで病んでしまう人は多いですよ。私は一度だけドクターストップがかかり1週間だけ休んだことはありましたが、15年ちょっとなんとか乗り切りました。あとはストレスによる過食で、入省後1年で13キロ体重が増加したぐらいですかね。

残業代は出ますけど、フルでは支給されません。収入面でいうと、同じぐらいの労働時間なら、現在勤めている民間企業の方がずっと高いです」

国民のために働く公務員、自分たちのことは二の次という感じなのでしょうか。陽子さんはそれはある程度致し方ないとしても、やはり矛盾を感じてしまうそうです。

「長時間労働が当たり前の人間が、長時間労働の是正を目指す働き方改革を推進するってなんだか無理のある話ですよね」

1 2