一方で、どんなシーンでも使いやすいのは「当社」だといえます。
「当社」幅広く使うことの出来る言葉ですが、「弊社」とちがい、へりくだるニュアンスを含んでいません。
また、「当社」は、他社と自社を比較する場合などに適した言葉です。広告やCMなどで「こんなに変わった!」と数値を表す画像や動画の下に「当社比」と付されているのを、見たことがある人も多いでしょう。
プレスリリースなどでも「当社」という表現がよく用いられます。
~使用例(プレスリリース)~
スーツ社 リモートワークを便利にする○○サービスを開始!
スーツ株式会社は、リモートワークの長期化に対応し、自宅で○○できるサービスをリリースします。
リモートワークが続き、気分が落ち込む人も増えています。在宅でも心を落ち着けて仕事ができることがなにより大切と考え、当社では、好評をいただいている□□サービスに●●の要素を加えた○○のサービスを提供いたします。
これまでにも、当社は~(以下略)
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お客様と会話をするとき「弊社は」と使うのは丁寧でよい表現です。しかし、外向きに何かを発表する際にはそこまでへりくだる必要はありませんので、「当社」を上手に使えるように練習してみましょう。
なお、対外的なものであっても、「お詫び文」などはへりくだるべき文章です。こうした際には「弊社」を使います。
なお、当然ですが「うちの会社では」「自分の会社では」などといった表現は、ビジネス上はNGです。友人同士の会話にとどめておき、仕事の場でうっかり口にしないよう心がけましょう。
「わが社」「弊社」「当社」「小社」……。自分の会社のことを表すだけでもこんなに表現がたくさんあって、細かな使い分けがあります。とても面倒に感じるかと思いますが、ちょっとした表現であなたの会社も、あなた自身の印象も大きく変わります。できるところから少しずつ取り入れてみてください。
取材・文/近藤とも