仕事&マネー 知っておくと安心!災害に遭ったときに受けられる控除と減免制度とは?

島国で海に囲まれている日本は、地震などの自然災害が起こりやすい国です。そのような災害が起こったときに、国では都度税金における優遇や支援策がとられます。

災害が起きたときには余裕がなく税金のことは考えられないのが通常ですが、申請忘れで延滞金が発生したり、受けられる支援を受けられなかったりするのはもったいないでしょう。

この記事では、災害時に受けられる雑損控除と災害減免法について解説していきます。

どちらも税金の軽減や免除につながる制度ですので、はじめて聞いた方も一緒にどのような制度なのかをチェックしていきましょう。

災害時には税金の支援もチェックしよう!

災害に遭ったときに受けられる税金における免除

災害があり、家屋や家財、他財産などに損害があった場合には、雑損控除または災害減免法によって税金の免除などを受けることができます。

これらの制度は、対象となる災害や資産に多少の違いがあるため、それぞれの特徴を確認していきましょう。

雑損控除とは

雑損控除とは、自然災害や火災、盗難、横領などで損失があった際に受けられる控除です。

控除にはさまざまな種類があり、生命保険料控除や社会保険料控除など、その人に当てはまる控除が合計されて収入から引かれるしくみとなっています。

さらに、収入から控除が引かれた金額に税率をかけた額が所得税額となるため、控除額が大きければ大きいほど税額が安くなります。

① 給与収入-給与所得控除=給与所得
② 給与所得×税率=所得税

雑損控除も申請をすることで控除の総額に含まれるため、その分所得税が軽減されます。

なお、雑損控除の対象となる災害は以下のとおりです。

また、控除の対象となる資産は、住宅や家財、生活に必要なものに限られており、趣味のものや別荘、ゲーム機器などの娯楽用品などは対象となりません。

災害減免法とは

災害免除法とは、自然災害によって住宅や家財に損失が出た際に、所得税が免除または軽減される制度です。

災害減免法を受ける条件は、年間の所得金額が1,000万円以下で、災害の損失額が住宅や家財の購入時の価格の2分の1以上であるなどと決められています。

また、前述で紹介した雑損控除を受けていると、災害減免法の申請はできないので注意が必要です。

雑損控除は、対象となる資産が住宅と家財、生活に必要なものであるのに対し、災害減免法は、住宅と家財に限られているため、損失した資産によってどちらが受けられるかが決まります。

また、どちらも当てはまる場合は、雑損控除と災害減免法それぞれを受けた場合の所得税額が小さい方を選べます。

雑損控除と災害減免法どっちが有利?

雑損控除と災害免除法は、両方を申請することはできませんが、申請する人にとって有利な方(所得税額が小さい方)を選択することが可能です。

どちらが有利となるかは損害金額などによって異なるため人それぞれではありますが、以下の例をみて、どのように選ぶのかをイメージしてみましょう。

雑損控除の例

震災で車が全壊してしまったケースで、以下の収入・所得・時価額などである場合に所得税額がどのようになるのかを目で追いながらチェックしていきましょう。

【給与収入】340万円
【給与所得控除】206万円
【給与所得】134万円
【所得税】6万7,000円
【車の購入時の価格】120万円
【その他災害関連の支出額】20万円
【受け取った保険金】20万円

まずは、上記の雑損控除の計算式を参考に雑損控除を出して、金額が高い方を選びます。

A:(車の時価120万円+その他災害関連の支出20万円-保険金20万円)-(給与所得金額134万円×10%)=106万6,000円

B:その他災害関連の支出20万円-5万円=15万円

今回はAが106万6,000円と金額が高いのでAの方を雑損控除とします。

雑損控除106万6,000円を所得控除額206万円にプラスすると、控除額の合計は312万6,000円。

さらに、給与収入340万円から給与所得控除額312万6,000円を差し引くと給与所得が27万4,000円であることがわかります。

最後に、給与所得金額27万4,000円に税率5%をかけて所得税額は1万3,700円となります。

計算式がつづき、何が何だかわからなくなってしまうと思いますが、とりあえずここでは、所得税額が1万3,700円となったことを確認できればOKです。

では次に、災害減免法を受けた場合の所得税を出して両者のどちらの方が有利になるか比較してみましょう。

災害減免法の例

災害減免法も雑損控除と同じ例でみていきます。

【給与収入】340万円
【給与所得控除】206万円
【給与所得】134万円
【所得税】6万7,000円
【車の購入時の価格】120万円
【その他災害関連の支出額】20万円
【受け取った保険金】20万円

災害減免法は、給与所得が1,000万円であることが一つの条件ですが、今回は134万円なので、減免法の対象となります。

また、損失額が時価の半分の金額よりも上であるという条件についても以下のとおりクリアしています。

損失額→車の時価額120万円-保険金20万円=100万円
時価額→120万÷2=60万円

損失額100万円>車の時価の半分60万円

そして今回の例の場合は、年間の給与所得金額が134万円であるので、所得税額8万円が全額免除となります。

さて、ここまで雑損控除と災害減免法の所得税額を出してきましたので、両者を比較してみましょう。

雑損控除を受けた場合の所得税:1万3,700円
災害減免法を受けた場合の所得税:0円

今回は、災害減免法の方が所得税が全額免除で0円となったため、災害減免法が有利であるということになります。

このように、雑損控除と災害減免法の所得税を計算して、お得になる方を選ぶことができるのです。

なお、国税庁の確定申告作成コーナーから所得控除の金額や損害金額などの必要な情報を入力すると、雑損控除または災害減免法どちらか有利な方で自動的に所得税が計算されるようになっているので、気になる方はチェックしてみてください。

参考:国税庁確定申告作成コーナー

災害時には雑損控除と災害減免法の申請ができることを覚えておこう

今回は、災害時における税金の免除・軽減などが受けられる雑損控除と災害減免法について紹介しました。

災害時には、その都度国から支援策が立てられ、雑損控除や災害減免法以外にも、納税期間の延長などの対策がとられることがあります。

災害直後は税金に関する情報を収集したり、申請をする余裕はないと思いますが、納税ができない状態になってそのままにしていると延滞金が発生してしまうことも起こり得るので、税金についての基本的な知識を持っていることは大切です。

また、雑損控除や災害減免法があると知っているだけで、早めの申請ができ、税金の免除や軽減をうけることができるので、これらについてもぜひ覚えておきましょう。

文 / 小林 愛加