仕事&マネー 保険料が大幅に上がるかも!? ファイナンシャルプランナーが教える火災保険料の見直し方

最近、こんなニュースを目にしたことはありませんか? それは、火災保険の「参考純率」が平均10.9%引き上げられるというものです。これにより、近い将来、火災保険料が値上がりする可能性があるといいますが、どういうことなのでしょうか?

今、火災保険に加入している場合はどうすればいいの? 見直したほうがいい? 見直しのポイントは? など、気になるポイントについて、ファイナンシャルプランナーにアドバイスいただきました。

火災保険の「参考純率」って? 引上げられるとどうなる?

2021年6月16日、損害保険料率算出機構が火災保険の参考純率の平均10.9%の引上げを発表しました。

損害保険料率算出機構は、参考純率・基準料率の算出や提供、自賠責保険の損害調査などを行っている組織で、参考純率とは保険料率の一つで、一般的には「純保険料率」とも呼ばれるものです。

簡単にいえば、発表された純保険料率を参考にして保険会社が自社の商品の保険料率を決めます。一般的に純保険料率に保険会社で算出した付加保険料率を加えたものが、契約者が負担する保険料率となります。

保険料率=純保険料率+付加保険料率

各保険会社が、損害保険料率算出機構が発表する参考純率を採用するかどうかは、各保険会社が判断するので、最終的な保険料は各保険会社の判断で決定されます。また、保険会社が自社の保険商品に参考純率を使用する場合でも、販売時期は保険会社が決定します。

しかし、多くの保険会社は参考純率を参考にするといわれているので、結果的に、近い将来、私たちが加入する保険会社の火災保険の保険料率が改定され、保険料が値上がりする可能性があるということです。

まだ各社から発表されていませんが、今回発表された参考純率の引上げは、2022年以降に契約される火災保険商品の保険料に反映される可能性があるといわれています。

押さえるべきは「大幅な参考純率引上げ」+「最大契約期間が5年に短縮」

今回の参考純率引上げに際して、私たち消費者が押さえておきたいポイントは、2点あります。

1.大幅な参考純率の引上げ

2021年6月に損害保険料率算出機構が発表した「参考純率の平均10.9%の引上げ」は、過去最大の引上げ率となります。

前回、2019年10月は平均4.9%の引上げでした。これと比べても2倍以上の水準であり、10.9%というのは過去5年で最大の引上げとなります。

なぜこれほど引上げされたのでしょうか? 損害保険料率算出機構は、背景として、近年増加し続ける自然災害による保険金の支払い増加や、損壊リスクの高い築年数の古い住宅の割合の増加から、火災保険の収支改善を行う必要性を挙げています。

2.最大契約期間を10年から5年へ短縮

もう一つ、押さえておきたいのが、同時に発表された最大契約期間の短縮です。

損害保険料率算出機構は、火災保険の最大契約期間を10年から5年へ短縮することも同時に発表しました。

火災保険は、契約期間が長いほど保険料の総支払額が安くなるため、短縮することで保険料を上げて収支改善を図ろうということです。

火災保険料値上げと最大契約期間短縮でどんな影響を受ける?

今回の火災保険の参考純率の引上げと最大契約期間短縮を受けて、私たち契約者はどのような影響を受けるのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんに伺いました。

「多くの場合、火災保険料が値上がりする可能性が大きいので、保険料負担が大きくなります。保険料は、保険会社、住んでいる都道府県、建物の構造、築年数、補償の内容によって異なります。2022年の値上げでは、大きく値上がりする地域では35%以上の値上げになりそうです。
ただし、損害保険料率算出機構が例示しているデータによれば、都道府県や建物構造によって値下げになる場合もあります。とはいえ多くの場合は値上がりすると考えたほうがいいでしょう。

また、契約できる保険期間が10年から5年に短縮されることになり、長期契約で得られる割引率の恩恵が減ってしまいます」

火災保険の見直し、値上げの場合と値下げの場合の対応

今回の値上げと保険期間短縮を受けて、火災保険の保険料の負担を少しでも減らすことを考えたいものです。飯村さんは今回の値上げと保険期間短縮に伴い、火災保険の見直しをするのがおすすめだといいます。どのように見直しをすればいいのでしょうか。

「各保険会社からは、保険料の改定がいつ頃、どの程度行われるかが随時、情報公開されます。火災保険に加入している人は、代理店や加入している保険会社のサイトなどで、自分の加入しているプランに火災保険の改定がどう影響するのかを確認しましょう」

保険料が値上げする場合と値下げする場合、それぞれ、どう対応すればいいのか教えていただきました。

値上げの場合

「値上げなら、改定前に割引率の高い10年契約を結ぶのもよいでしょう。通常、一度保険を契約すると、保険金期間が終わるまで保険料は変わりません。保険料が値上がりする場合は、満期まで少しでも長いほうがお得になります」

値下げの場合

「値下げなら、改定後、すぐに保険を切り替えたほうがお得になります。ただし、実際にはケースバイケースで異なりますので、改定後の保険料シミュレーションを行い、現在の保険料と比較をしましょう」

火災保険の見直しポイント

その他、火災保険を見直す際のポイントを教えていただきました。

1.補償内容の過不足をチェック

「保険料が改定される前に、補償内容の過不足をチェックしましょう。いずれにしても、我が家にとって必要なリスクをカバーする保険になっているかをチェックすることは大切です。保険料の値上げによる家計負担を減らすためにも、節約できることはしていきましょう。我が家に合った補償になっていないと、万一のアクシデントが起こった際、補償の過不足が生まれてしまいます。

水災補償はパッケージ化されていてあらかじめ補償範囲に含まれているものと、オプションで付けられるものがあります。水災の補償が必要かはハザードマップ等でリスクの度合いを確認しましょう」

先日、ソニー損保が発表した2021年の全国の火災保険に加入している持ち家世帯について、火災保険の補償内容と自然災害リスクに何らかのミスマッチが発生している世帯は、65.6%にも上りました。また、自然災害リスクが低いのにも関わらず、そのリスクの補償を付帯している世帯は全体の35.9%ありました。こうした世帯では、補償を見直すことで、保険料を節約できる可能性があります。

2.保険料を抑えるコツは「カスタマイズ」「ダイレクト型」

「火災保険の保険料を抑える方法は他にもあります。一つは、パッケージ化されている商品ではなく、補償のカスタマイズができる保険商品を選ぶこと。必要最低限の補償を付けることができ、結果的に保険料も抑えられるでしょう。

また、店舗運用費などが削減できることから保険料が安く済むことの多い『ダイレクト型』の保険会社で加入すると、保険料が抑えられる可能性が高くなります」

先のソニー損保の調査では、代理店型からダイレクト型へ火災保険の契約を変更した世帯を対象に保険料の変化を調査したところ、契約を変更した世帯の50.0%が保険料が安くなったと回答しています。カスタマイズのできるダイレクト型は、保険料を抑えることが期待できそうです。

3.複数社の見積もりを比較する

「適切な補償を付けた場合の保険料を、何社か見積もりを取って比較しましょう。火災保険を取り扱っている保険会社はたくさんありますが、近年では、一度の情報入力で複数の保険会社から見積もりを取れるサービスがありますので活用するとよいでしょう」

今後、各保険会社から、火災保険の保険料の改定が順次、発表されていくものと思われます。ぜひ自分の加入している火災保険の保険料の改定をチェックして、補償や保険商品そのものの見直しを検討しましょう。

●教えてくれた人…飯村久美さん

金融機関勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。FP事務所アイプランニング代表。テレビやラジオでも活躍中。近著に「お金の先生!できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。」(アスコム)。
https://www.fp-iimura.jp/

【参考】損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/pdf/202105_announcement.pdf

取材・文/一ノ瀬聡子