仕事&マネー 退職金には税金がかかるって知ってた?退職金の受け取り方に要注意

退職金に税金がかかることを知っていますか?退職後に生活の助けとなる退職金ですが、実は満額もらえるわけではありません。

では、どれくらい税金が引かれるのでしょうか。この記事では、退職金と税金について詳しく解説していきます。

退職を考えているけれど退職金がどれくらいもらえるのか心配な方や、将来の退職金を試算しておきたい方などは、ぜひ内容をチェックして、退職金がどれくらい受け取れるのかイメージしてみましょう。

退職金が思っていたよりも少ない!?

退職金には税金がどのくらいかかる?

まずは、退職金にどれくらいの税金がかかるのかみていきましょう。

退職金からは所得税・住民税が引かれる

会社を辞めた後に支給される退職金からは、住民税と所得税が引かれます。

せっかく頑張って働いてもらえる退職金から税金が引かれると思うとがっかりする方もいることでしょう。

納税の義務は避けられないものですが、退職金は会社に貢献した労いをこめて支給されるものであることから、国では、退職者の税金の負担が軽くなるように「退職所得控除」を設けています。

では、退職所得控除があると、なぜ税金負担が軽くなるのでしょうか?

次の章で控除と税金についてみていきましょう。

退職所得控除があると納税額が下がる

毎月の給与からは、所得控除や社会保険料控除、生命保険料控除など、それぞれの従業員に見合った控除が引かれています。

控除とは、一定の金額を差し引くという意味があり、人や生活に関するさまざまな種類があります。

通常の給与では、基本給や手当を含む収入から控除を引いて「課税所得」という税率を掛けるための所得金額を出します。この課税所得が低ければ低いほど税金の金額も下がります。

退職金も同様のしくみで、退職金額から退職所得控除を引き、1/2を掛けることで課税退職所得を算出します。

そして、課税退職所得に税率を掛けて税金の金額を出します。

退職金額そのものに税率をかけてしまうと、税金額が非常に高くなってしまいますが、退職所得控除と最後の×1/2によって、税金の金額が抑えられるようになっているのです。

退職金にかかる税金と手取り額の計算例

では、勤続年数15年で、退職金が1,000万円の場合の税金の金額と手取り額を計算してみましょう。

まずは、退職所得控除と課税退職所得を出していきます。

① 退職所得控除を計算

【勤続年数に応じた退職所得控除の計算式】

  → 40万円×勤続年数15年=退職所得控除600万円

② 課税退職所得を計算
  → (退職金1,000万円-退職所得控除600万円)×1/2=課税退職所得200万円

この課税退職所得200万円に税率をかけて税金の金額を算出していきます。

次は、所得税と住民税を計算していきましょう。

③ 所得税を計算

【税法で定められた退職金の所得税率と控除額】

※令和3年現在の税率

退職金の所得税の金額は以下の計算式で求められます。

所得税=(課税退職所得×税率)-控除額×復興特別所得税

→ (課税退職所得200万円×税率10%)-控除額9万7,500円×復興特別所得税1.021=所得税10万4,652円

※復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のために徴収される税金のことです。平成25年1月1日~令和19年12月31日まで、所得税の2.1%相当の金額が復興特別所得税として源泉徴収されるようになっています。

④ 住民税を計算
 → 課税退職所得200万円×10%=住民税20万円

⑤ 手取り額を計算
 → 退職金1,000万円-所得税10万4,652円-住民税20万円=手取り額969万5,348円

勤続年数が15年で退職金が1,000万円の場合は、税金合計が30万4,652円、手取り額は969万5,348円となりました。

ここまで、一つ一つ計算して算出しましたが、実際には会社が計算をして源泉徴収をしてくれるので、計算が混乱してしまった方も心配はいりません。

まずは、退職金はまるまる満額もらえるわけではなく、上記のように所得税と住民税が引かれた金額が手取り額となることを覚えておきましょう。

退職金にかかる税金は会社が源泉徴収してくれる

一般的には、退職の際に「退職所得の受給に関する申告書」という書類を会社に提出をします。

資料引用:国税庁公式HPより

この書類には勤続年数などの記載があり、それを元に税金の金額が計算され、会社が源泉徴収してくれることがほとんどです。

そのため、原則的には自分で確定申告をする必要はありません。

また、退職所得の受給に関する申告書を提出しないと退職所得控除などが受けられず税額が高くなってしまうこともあるため、忘れずに提出するようにしましょう。

給与所得に関しては確定申告が必要なことも

退職日までの給与所得に関しては、会社で年末調整をしてもらえないことが多く、自分で確定申告をしなければならない場合があります

特に住宅ローン控除や生命保険料控除などの各控除を受けたい方は確定申告は必須といえます。

また、控除がない方でも、年の途中で退職した場合には確定申告をすることで払いすぎた分の税金が戻ってくる可能性があるので、確定申告をしておいた方がよいでしょう。

なお、退職した年に他の会社に転職をした場合は、前の会社の源泉徴収票を提出することで転職先の会社がまとめて年末調整をしてくれるので、源泉徴収票は必ず発行してもらうようにしてください。

退職金の受け取り方によって税金のかかり方は変わる

退職金は一時金または年金として受け取ることができます。これらの受け取り方によって税金のかかり方に多少の違いがあるため、以下でチェックしておきましょう。

一時金で受け取る

退職金を一時金で受け取る場合には、退職金額から所得税と住民税が引かれた分が手取り額となります。※冒頭の解説参照

年金で受け取る

退職金を年金で受け取る場合には、雑所得として扱われるため、年金が支給されるたびに所得税がかかります。

また、年金として支払われる退職金は、国民年金や厚生年金などの公的な年金と合算されて、その合計金額に対して課税されます。

【雑所得の計算式】

年金額-公的年金等控除額=雑所得

【公的年金控除額】

受け取り方はメリットとデメリットを踏まえて決めよう

退職金の受け取り方によって税金のかかり方が異なることを前述で解説しましたが、どちらがよいかは、本人の状況にもよるため、それぞれのメリット・デメリットをふまえて判断するとよいでしょう。

【一時金のメリット・デメリット】

【年金のメリット・デメリット】

まとめ

退職金は、定年まで働いた後にまとめてもらえるイメージがありますが、自己都合で退職した場合にも支給がされます。

また、退職金からは通常の給与と同じように所得税と住民税が引かれるため、受け取ったときに思っていた金額よりも少ないと感じる方もいることでしょう。

さらに、受け取り方によっても税金のかかり方は異なることから、あらかじめ税金のことを知っておくことは大切です。

退職時には、会社が税金の計算をしてくれますが、実際にいくら退職金がもらえるのか気になる方は、この記事で解説してきた計算式に当てはめてどれくらい税金が引かれるのかイメージしてみましょう。

文 / 小林 愛加