働く堅実女子のためのビジネスで役立つマナー、今週は野田いつ子さん(仮名・広告会社勤務・35歳)からの質問です。
「職場の後輩女性に枕営業しているというウワサがたっています。彼女に対して調子がいいタイプだと常々感じていましたが、そういう話を耳にすると、ますます腹立たしくてイライラしてしまいます。先輩として、どうふるまえばいいのでしょうか」
芸能ゴシップやドラマなどで見聞きする枕営業。業務上メリットのある男性と性的関係を結んで自分の仕事を有利にする行為を言いますが、相談者さんの後輩女性のように、実力以上(?)の成果が見られる女性や、やけに上司や取引先と仲が良くてひいきされているではという女性がいると、「絶対におかしい、枕営業しているのでは?」などというウワサが立ちがちです。後輩の目に余る状況……先輩としてどうしたらいいでしょうか。鈴木真理子さんに聞いてみましょう。
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枕営業疑惑はセクハラ、パワハラの温床を助長する現象
女性は女性らしく、男性は男性らしくなどという性差を職場に持ち込むことは古い考えとされています。とはいえ人間ですから、自分に対して「感じがいい」と思える相手との仕事は精神的ストレスが少ないですし、そういった相手と取引したいと思うのは人情でしょう。実際、仕事もスムーズに進むと思います。仕事の相手に対し、好感度高く仕事ができるというのもスキルのひとつといえます。それを性的に誘惑していると決めつけ、あれこれ想像するのは、ランチや給湯室でのウワサ話としてはおもしろいかもしれませんね。でも、そういう発想は女性の社会進出の妨げにもなりかねません。「仕事が取れるのは枕営業しているからだ」という考えは侮辱であると同時に、「枕営業は仕事が取れる」、ひいては「枕営業しなければ仕事が取れない」という共通認識を生み出しかねないからです。
Metooの浸透もあって、業務上権力のある人に性的関係を迫られ、仕事に悪影響を及ぼすのではという恐怖で断れなかったという被害者が告発するケースも増えています。公表されるのはごくごく一部と考えると、実際にはもっと多いと考えられます。それだって、「枕営業でもしなければ仕事が取れない」という認識が浸透してしまっているからということはないでしょうか。それを無くしていこう、もっとフェアに仕事ができる環境をつくっていかなければいけないという風潮の中で、「枕営業」というワード自体、消滅させるべきもの。「色目を使っている」などという揶揄も同様です。