仕事&マネー 【貧困女子】年収1千万円で貯金ゼロのIT役員……自己啓発本の山が見せた泡沫の夢~その2~

数年前までは普通の生活をしていたのに、気が付けば貧困と言われる状況になってしまった女性たち。

山本萌美さん(仮名・43歳・IT関連会社勤務)の年収は約1千万円を超えます。それなのに貯金はゼロ。その理由を伺いました。

その1はこちら

父親の遺産の700万円を購入資金に充てた4500万円のリノベーションマンションに住む萌香さん。前に住んでいたのは、都心のヴィンテージマンションで、家賃17万円。40平米にはゴミと自己啓発本が詰め込まれていたと語ります。

「そこそこ有名な大学を出たのに、就活は全滅。私は地方出身だけど、地元には帰りたくない。だから銀座のクラブで生活費を稼ぎながら、就職先を探していたんです。そんなときに、お店のママからデール・カーネギーの『人を動かす』をすすめられ、読んだら衝撃的な内容でした。まともに生きて、結果を残す指南書です。本を参考に人生の軌道修正をしたら、大手広告代理店の契約社員になれたんです」

それから、『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン)、『素直な心になるために』(松下幸之助)、『脳内革命』(春山茂雄)、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)などを暗記するほど読んだと言います。

「それまで、受験のための読書しかしてこなかったから、『こんなにすごい世界があるんだ』と感動しました。実践すれば、すぐに幸せになれるし、成功できるんですよ。しかも本を書いた人がセミナーをしていて、数万円から数十万円払えば、それに参加でき交流ができる。私、ある著者の人にハマってしまい、一時期はお金を払ってその人の付き人みたいなことをしていました。日本国内だけでなく、ハワイ、バリ、シンガポールのツアーに数百万円も突っ込みましたもの。それで、帰ってくると大口の仕事が待っていたり、普通では繋がれない人との出会いがあったりする。私の眠れる力はすごいと思いました」

成功体験が積みあがるほどに、自己啓発本が本棚からあふれ、床を侵食していきます。

「仕事の成功、生活の幸福感、恋愛、結婚……私はバツイチなのですが、自己啓発本があったから27歳で結婚できたと思います。結婚期間は2年くらい。元夫とはひどい別れ方をしましたが、一応、男性から愛されて、結婚できたんですよ」

離婚理由を伺うと、萌香さんの浪費と汚部屋体質。

「生まれつき片付けられないんです。高価な服を買っても、汗をかいたり、汚れをつけたまま脱ぎっぱなしにして忘れてしまい、結局ダメにしてしまうことを繰り返しました。高級靴の上に高級靴を脱いだり、食べたものをそのままにしたり……。あと、仕事に夢中になると何も見えなくなってしまう。そんなところが元旦那さんはホントに嫌だったみたいで、出ていかれました」

夫の心を取り戻すために、大量の自己啓発本を購入。

「失恋がらみの自己啓発本は、30冊くらい読みました。復縁に有効だというメソッドはかなり実践しました。彼は山形県出身なのですが、実家近くの菩提寺に行って先祖の墓に祈ったり、氏神様に彼の幸せを願ったり、彼の好物を影膳したり……それでも元夫は離婚を迫ってくる。私はスピリチュアルにはあまり興味はなかったのですが、このときは占いにも30万円くらい使ったかな」

本棚の周りは天井まで自己啓発本が積みあがっていたと言います。そこまでした理由は「背表紙のタイトルを見ないと、何が書かれていたか忘れてしまい、実践できなくなるから」。そこまでしても夫の心は変わらず、離婚届の署名捺印を迫ってきました。

「ほかに女性がいるのかと思って、調べても何も出てこない。夫が出て行ってから半年後に、会ってほしいと連絡があり、新宿のファミレスに呼び出されました。復縁するのかと思ったら、保証人まで記入済みの離婚届を出してきたんです。今まで郵送で8通送られてきたのですが、全て無視していました」

記入済みの離婚届を3枚破り捨てるほど、離婚はしたくなかった

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