仕事&マネー 【貧困女子】年収3000万円の元ヤン夫が、うつでクビ……貧困生活とブラック派遣と夫婦の絆~その2~

「収入が多いと、自然と生活が広がってしまい、それをダウンサイズすることが大変でした。収入がゼロになるから、タワマンから引っ越さねばならず、退居時の見積もりをとったら、100万円でした。高級車のローンの精算もあり、複数の高級時計とバッグの売却で、なんとか補填しました。あとはアートも売却でき、これはけっこうな額になりましたが、買わされた不動産投資物件の精算額400万円に消えました。大きなベッドとソファーの処分などにもお金がかかり、実家から50万円借りました。元嫁に養育費減額の相談をしたら、『絶対に許さない』と言われてしまい、困ったと思って元嫁の家に交渉に言ったら再婚していたんです。夫の子供は再婚相手の養子になっており、養育費の支払い義務はとっくになくなっていた。それにホッとしました」

夫婦で今住んでいるボロアパートに落ち着いた時は、コンビニでカップラーメン1つすら買えず、スパゲティーに醤油をかけて食べたそう。

「ゆでるのに光熱費がかかるから、避けたかったんですけどね。ホントに何もかもが無くなっていました」

退職した時、社長はカンカンで、退職金も出なかったそうです。

「もともと、退職金込みで給料を払っているとのことでした。これ以上交渉するのが面倒で、全てはあきらめました。失業保険が出るまで、どのように稼ぐかが課題で、うつで目を離すと自殺してしまいそうになる夫を家に置き、日雇いの派遣バイトに出ることになりました。日払いの仕事サイトから応募し、ショッピングモールでのクレジットカードの勧誘や、雑貨の組み立て工場などの仕事に行っていました。勧誘の仕事は人から断られるのが怖いから、時給は高かったんですがすぐに辞めました。単純作業は、明らかに20代の監督係に怒られながら作業をするのが屈辱で。こんなことなら、前の会社を辞めなければよかったと後悔しました」

日雇い派遣の単純作業は、過酷な職場だったと言います。

「行けばお金をくれるので、頑張りました。辛かったのは交通費が出ないこと。その多くは、1日8000円の日当で8時間働くのですが、現場が遠いと時給が700円くらいになってしまう。辛かったのは、真夏のイベント設営です。パイプ椅子を黙々と置く仕事だったのですが、20代前半の男の子が現場監督で『そこのババア、さっさと働け』などと怒鳴られて、心が折れそうになりました。他にもエアコンがない部屋でハロウィン用のフォトフレームを組み立てたこともありました。立ちっぱなしで休憩もなく、組み立てに失敗すると給料から素材代を引かれる。働く人に優しかったり、法令を遵守するのは、大手ばかり。零細企業は別に法律を守らなくても糾弾されないから、みんなブラックすぎる環境で働かされているんです」

朱里さんが家にいないと、夫の病状が悪化してしまいます。薬代もバカになりません。

「親からは離婚をすすめられたんですけれど、夫は憧れの人だったし、まだ47歳で回復すればまた働いてくれると思うんです。それに、私が母親のように頼られているから、見捨てられない。DVしたりモラハラもしないですしね。でもホントに生活は苦しいですよ。3万3000円の家賃を払うので精一杯です」

生活保護申請をしようと、相談に行ったこともあるそう。

「でも、生活保護を受給してしまうと、月に1万5000円以上働くと、それ以上働いた分の給料を、市に返金しなくてはいけないと聞かされました。それなら働き損だと思い、申請をやめたのです」

今年の夏は料金滞納で電気が止まってしまい、熱中症で死にかけたといいます。

「救いは、夫が回復しかけていること。セレブ時代は180cmで80キロ近くあったのに、一時期は50キロ以下に。ただ、自己嫌悪のループから1か月くらい前にやっと抜けて、体重も戻ってきました。家事もするようになり、人と連絡を取っているので、ホッとしています」

朱里さん自身も日雇いをやめて、デスクワークの仕事を得ました。食べるものも食べられなかったこの1年間、心労で朱里さんは10キロ痩せたとか。

「実家が心配していろいろ食料を送ってくれています。今私たちが住んでいるアパートは1階に71歳の女性の大家さんが住んでいて、家賃が手渡しなんですよ。一度、ホントにつらくて、大家さんの前でボロボロ泣いてしまったんです。そうしたら、黙って話を聞いてくれて、お米や野菜をくれるようになりました。最初は遠慮していたのですが、『もらうことが下手だと、お金も入ってこないわよ』って言われたのです」

まさか、自分が貧困女子になるとは思わなかったと続けます。

「ホントに何があるかわからないから、正社員の仕事は手放さなければよかったと思っています。それだけが後悔ですね。あとは前年の住民税を滞納していて、その支払いの目途がたっていないこと。夜の仕事でも始めようかと思っています」

ブラック派遣の現場では、怒声や罵声が飛び交う。それもストレスだという。

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