雑誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは、あるときまで、普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちの体験談。なぜそうなってしまったか、そしてその後の人生を追ったレポートです。
今回は一流商社に勤務しながら、母親のタカりによって借金返済生活に転落してしまった中井悦子さん(38歳)のストーリー。
今、どんな生活をしているんですか?
「朝9時に出勤し、だいたい21時くらいまで仕事しています。扱っているものは建材で、耐震設備に使われる部品をメインに扱っています。商談に立ち会うので、出張も多く事務処理事項も多いです。職場ではデキると思われているらしく、あまり女性扱いされていないので、男性社員と変わらず仕事を任されており、おもしろいですね。給料は毎月手取りで40万円くらいあります。うち15万円が消費者金融やクレジットカードの返済に充て、10万円が家賃(東京都江東区の1DK)、5万円を母へ仕送り、10万円が生活費です。光熱費、通信費、食費を払うとランチ分しか残らなくて」
職場的にランチに自炊のお弁当という雰囲気はまったくない。
「父がかつて、“商社よりメーカー勤務の人のほうが給料は半分だけど貯蓄高は多い”と言っていたのですが、商社は見栄っ張りが多いので、ランチの自炊弁当はカッコ悪いし、そもそもデスクでごはんは食べない。そして、チェーンの居酒屋は行かないなど、目に見えないルールがあって。服もバッグもそれなりのモノを身に付けていないと、バカにされる雰囲気があります。
誘われると断れず、たまにワリカンになることもあり、節約したくても、全然できないんですよ。手持ちの現金がなくなると、スーパーやカフェでちょこちょこカードを切ってしまって、使途不明金がかさむばかり。ホントにお金が足りないですね。周囲の同期も“お金がない”といつも言っています。まあ、彼らは実家が裕福なので、おこずかいを親からもらっているみたいですが」
中井さんはスペック的には貧困女子ではないかもしれませんが、借金に追われて自分の人生を生きられていない、貯金がまったくなく、危ういバランスのキャッシュフローで生きているという現実面では貧困女子と同じ。
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