平和で穏やかな日々を過ごしていたのに、あるきっかけで世にも恐ろしい体験をしてしまう……まさに一寸先は闇。一番怖いのは人間?働く女性たちが体験した、「本当に怖いと思った」出来事を取材していく本シリーズ。今回、山杉るり子さん(32歳・仮名)は塾講師という仕事をすることで、心底震える体験をしたそうです。
モンスターペアレンツが増えるようになってきて……
「教師になることが子供の頃からの夢だったんです。私は恩師に恵まれたので、こんな先生方のようにいつも子供たちの味方になれる教師になりたいって思っていました」
そんな思いを抱いて塾講師になったるり子さん。小柄で優しそうなるり子さんは、すぐに塾の子供たちの間でも人気の先生になったそうです。理想の教師像にまい進していたのですが、モンスターペアレンツ(通称:モンペ)が急激に増加するようになって、歯車がかみ合わなくなってきたといいます。モンペの所業は年々酷くなるばかりだとか。
「私は国語を担当しているんですけれど、うちの塾は有名私立高校の合格率がいいので、それらの高校を目指す子供たちがたくさん集まるんです。そうなるとどうしても競争が激しくなってしまい、子供たちの足の引っ張り合いはもちろん、親たちもすごいんですよね。本来、塾は勉強をするところなんですが、勉強よりもライバルを蹴落とすことばかり力が入っているといった印象です。ここ2~3年は特にひどくなってきていて、細かい苦情を塾に言いに来るようになりました。
もちろん、頑張って成績を上げようとしている子供たちもたくさんいるんですけど……。最近は、努力せずに成績上位になることばかり考えている子供たちが増えてきました。例えば、塾で月1回のランキングテストがあるんですけれど、そこでカンニングしたり、勉強のできる生徒のノートを隠したり。できる生徒がテストを受けないようにトイレに閉じ込めていたといういじめもありました。