堅実女子ニュース&まとめ 問答無用にカッコよくて、超絶ヤバい問題作で、奥深い人間ドラマ――映画『ジョーカー』を見逃すな!

■真に恐ろしい映画

映画はそんなアーサーの日常を追い、やがて追い込まれて行くさまを描写していきます。神経の病から人びとに奇異な目を向けられ、やはり精神的にぎりぎりな状態の病床に伏す母親と小さなアパートで二人暮らしをして孤独に生き、コメディアンとしては日の目を見ず、経済的にも困窮して行くアーサー。一方で政府は金持ちに優位な政策を行ない、金持ちは威張りちらし、貧乏人はひたすらに苦しみの底に落ちていく。誰もが自分の暮らしにきゅうきゅうで、他人のことなんて考えもしない……って、あれ?そんな物語にのめり込みながら、それって今現在の日本の社会にもまんまつーじるじゃん!と感じる自分に気づきます。これって自分もそうなるかもしれない、すぐそこにある人間のドラマなの?と。

「決して感情移入を許さない、理解不能なレベルの純粋な悪」、だったはずのジョーカーの哀しみが、手を伸ばせば触れられるほどありありと実感出来ることに気づかされるとは。ホアキン・フェニックスの演技があまりにハイレベルな域に達していて、まず「なんか気持ち悪い」という思いが先行し、単純な感情を移入を許さないというのに。

洗練された音楽、隙のない演出とすべてが圧倒的。そして真に恐ろしい映画でありながら、いつまでも“彼”の切ない哀しみにまとわりつかれる。そんな経験もまた、映画を観る最上の喜びなのです。

アーサーが憧れるトーク番組の司会者、マレー・フランクリンを演じるロバート・デ・ニーロ。番組に出演することになったアーサーは彼に「俺を“ジョーカー”と紹介してくれ」と頼みます。

文・浅見祥子

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