堅実女子ニュース&まとめ 2020年に来る!のはこの人――注目の俳優は?【男優篇】

なんとなく、大きな変化が起きる予感がする2020年。俳優の世界も様変わりする、かも!?気になる俳優はたくさんいるけれど、まずは今泉力哉監督の『his』に登場する2人と、仮面ライダーから飛び出した逸材2人を紹介します。まずは【男優篇】から。

サラブレッドらしい品格を備えた宮沢氷魚

まずはこの人、宮沢氷魚(みやざわ ひお)。“THE BOOMのボーカル、宮沢和史の息子”、という説明をあっという間に不要にしたのは、杏と共演した連ドラ『偽装不倫』で。

彼が演じたのはヒロインの鍾子(しょうこ)が出会う年下の、風景写真が専門の心優しいフリーカメラマン、伴野丈(ばんの じょう)。女子にとってなんだかやたらに惹かれる要素をテンコ盛りにしたようなキャラクターだった。じつは彼は深刻な病を抱えていて手術で記憶障害に陥ったりして、ふつうなら「んなア〇な!」と言いたくなる展開なのに、彼が真剣に真摯に演じていると、その姿に静かに心を打たれてしまうから不思議。うっかり既婚者と嘘をついて丈と恋に落ちる鐘子を、その嘘を知っても一途に想う姿にうっとりする女子が続出した。

そんな彼の俳優デビュー作は、2017年の連ドラ『コウノドリ』第二シリーズでの研修医役。『映画 賭ケグルイ』では、映画初出演を果たす。後者はギャンブルによる弱肉強食が鉄の掟という私立高校を舞台にした特殊な世界観の作品で、宮沢はものすごい形相でギャンブルにのめり込む生徒たちとは別次元で生きるような、「非ギャンブル、不服従」を掲げるグループのリーダー役。すらりと背が高く(身長184cm)、透き通る肌と薄茶色の髪と瞳が印象的なその外見はとても個性的で、現実離れした役柄をすっと自分のものにする姿が奇妙なスケール感を抱かせた。

そして最新作は映画『his』、監督は『愛がなんだ』で一躍人気モノとなった今泉力哉。彼が演じるのは東京から田舎へ移住し、ゲイであるのを隠して一人暮らしをする井川迅(いがわしゅん)。この映画の宮沢は、俳優としてかなりの進化を遂げている。物語は静かに暮らす迅のもとに、8年前に突然別れを告げて去った日比野渚が現れるところから動き出す。しかも6歳の娘を連れて。妻とは離婚協議中だという渚は迅の家に転がり込むように居つき、3人の奇妙な共同生活が始まる。

つまりこれはどれほど抗っても惹かれ合ってしまう、どうにもならない恋愛に陥った男と男のラブスーリー。それを今泉監督が演出するのだから、もちろん一筋縄ではいかない。繊細にして緻密、それでいてリアル。そんな演出に応えるように、でもサラリと迅という人間を演じる宮沢。もちろんいかにもゲイという佇まいではなくて、けれど渚への想いに揺れ動く姿を丁寧に表現していく。そのせいなのか、見終えたあとは奥深い人間ドラマを観た余韻が残る見応えのある作品に。

これまでも気鋭の演出家である藤田貴大による『BOAT』、三島由紀夫の原作に挑んだ『豊饒の海』と舞台にも意欲的だったが、3月からは舞台『ピサロ』に出演する。サンフランシスコ生まれで留学経験もあって英語に堪能、ギター、三線と楽器もできて、俳優としての武器も多彩。最近だと坂口健太郎、成田凌、清原翔、鈴木仁と、『MEN’S NON-NO』専属モデルから俳優へ転身して頭角を現す男子は数多いが頭一つリード、なるか?

井川迅を演じる宮沢氷魚。こんな人が田舎で畑をやりながら一人暮らしをしていたら、きっとモテまくり。

『his』(配給:ファントム・フィルム)
●監督/今泉力哉 ●企画・脚本/アサダアツシ ●出演/宮沢氷魚 藤原季節 松本若菜 松本穂香 ほか ●2020年1月24日~新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
(c)2020映画『his』製作委員会

一瞬で場をさらう個性派、藤原季節

『his』で宮沢氷魚の相手役、日比野渚を演じるのが藤原季節(ふじわら きせつ)。邦画好きなら、「ず~っと気になってた!」という人は多いかも。例えば吉田大八監督の『美しい星』。橋本愛演じる女子大生に声を掛けるチャラい広告研究会の男の役で、出演シーンはほんの少し。なのに、お!?こやつ出来るの!と思わせる演技を見せたのがこの人。他にも間宮祥太朗がヤクザな金髪男をまさかの無精ひげで演じた『全員死刑』で、カレーのプール(!)に沈んだのも。『止められるか、俺たちを』で脚本家の荒井晴彦になりきってみせたのも。そして『his』と同じ今泉監督の『アンネクライネナハトムジーク』でも後半、一瞬ですべてをかっさらったのが彼だった。

いつかじっくりと演技を観てみたい――そう思っているとまずU-NEXT『すじぼり』で連ドラ初主演。そしてこの『his』である。彼が演じる日比野渚は「なんとなく会いたくなったんだよ」とか言って、身勝手に自分から別れを告げた元カレの元に、しかも子連れでやってくるという困った男である。なんだか人懐こくて、でも父親としては娘を心底を愛してもいて。つまりが憎めないヤツ。そんな渚をこれまた、そういう人としか思えないように体現していく藤原。やはりこの人はとてもセンスがいい。この作品で理想的な芝居とは?という思考を経て演技を選びとるセンス、それを表現として表に出すときの技術。そのバランスが、近々ブレークの予感に満ちる。彼自身もまたどこか人懐こく、独特の思考回路から出た発言は興味深くて、多くのつくり手に求められそう。

日比野渚役の藤原季節。役柄によって印象が激変。本人もまた人懐こいキャラ。

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