堅実女子ニュース&まとめ ゴクミの神々しさだけではない⁉ミラクルな余韻をもたらすシリーズ第50作、『男はつらいよ お帰り 寅さん』

「私、生まれも育ちも葛飾柴又。姓は車、名は寅次郎。人呼んで、フーテンの寅と発します」――チェックのセットアップにベージュの腹巻に雪駄にトランク、といま見るとなんだかオシャレ~な、あの寅さんが帰ってくる!第1作の公開から50周年となる今年、50作目の最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が完成。その中身とは?

『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社

『男はつらいよ お帰り 寅さん』(配給:松竹)●原作・監督:山田洋次 ●脚本:山田洋次、朝原雄三 ●出演:渥美清/倍賞千恵子 吉岡秀隆 後藤久美子 前田吟 池脇千鶴 夏木マリ 浅丘ルリ子 ほか ●12月27日より全国ロードショー 

【あらすじ】
脱サラして小説家になった満男(吉岡秀隆)は中学生の娘(桜田ひより)と二人暮らし。前作の評判は悪くなく、担当編集者(池脇千鶴)の手厚いサポートを受けるも、なかなか次回作の執筆は進まない。そんな満男が、亡き妻の七回忌法要で葛飾の実家へ。母のさくら(倍賞千恵子)や父の博(前田吟)ら親戚と昔話に花を咲かせ、伯父さんである寅次郎(渥美清)との思い出が蘇る。そんなある日、書店で行なわれたサイン会に出席した満男は、初恋相手のイズミ(後藤久美子)と再会する。

シリーズ第50作目が完成!

「ちゃ~、ちゃらららら。ちゃらら~ら~ららら~」。

ある年齢以上の日本人にとって、特別な懐かしさを感じさせるこのイントロで始まる映画『男はつらいよ』シリーズ。そのすべてで主人公の車寅次郎を演じた渥美清が1996年に亡くなって以後、まさか新作が観られるとは誰も思っていなかったはず。脚本から手掛けた山田洋次監督自身、シリーズ50作目となる今回ばかりは「どんなものになるか見当がつかない」というスタートだったといいます。

そうして出来上がった内容が「新しく撮られた登場人物のいまと、4Kデジタル修復で蘇る寅さんのシリーズ映像が見事に紡ぎ合う新たなる『男はつらいよ』の物語」と知らされ、観客としては少しだけ不安になったのも事実です。もし化学反応のようなものはいっさい生まれず、ただチグハグな映像の連なりだったらどうしよう……?『男はつらいよ』シリーズが大好きで、小さいころからお茶の間で折に触れて親しみ、大人になってからはお正月に映画館で観るのが幸せな記憶だった世代にとっては本気で心配になるのです。

結果からいうと、それは無駄な心配でした。88歳(!)のいまも年に1本ほどのペースで確かな新作を発表し続ける山田洋次監督が、自身の代表作であるシリーズを台無しにするような作品を撮るはずがありません。それでいて、これいったいどこまであらかじめ計算したのだろう?と思うような、ちょっと不思議な余韻の残る映画になっているのです。

物語の主軸は、吉岡秀隆演じる諏訪満男

物語の主軸は諏訪満男です。演じる吉岡秀隆という俳優はドラマ『北の国から』の杉田成道と『男はつらいよ』の山田洋次という、テレビドラマと映画のまさに最上級レベルの巨匠である演出家に育てられ、過去に演じた役柄とまるでイコールのような眼差しで観客たちに見守られて大人になった人。画面にそんな彼が登場した時点で、“あらっ満男、大人になったわね~。いま仕事はなにをやってるの?結婚はしたの!?”みたいな親戚のおばちゃんのような気持ちに、気づけばなっているのです。

“え~小説家!?スゴイじゃないの!ただのサラリーマンで終わる子じゃないと思ってたわよぉ……”吉岡秀隆が演じると、そこもまたリアリティーを感じさせます。で、“こんなにカワイイ娘がいるのね、中学生!?しかも、いい子じゃないの~”ってすいません、このままずっと映画の内容を列記してしまいそうになります。そうしてわれわれ観客はまるでひさびさに会った遠い親戚のような気分で、満男の物語へと感情移入していくのです。

今回の主軸は、中年にさしかかった諏訪満男の物語。演じるのはもちろん、吉岡秀隆。

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