堅実女子ニュース&まとめ 映画『AI崩壊』に主演した大沢たかおが、約2年間の休業を経て感じた変化とは?~その1~

大沢たかおさんの最新主演映画『AI崩壊』が完成しました。監督は『SR サイタマノラッパー』『ギャングース』『22年目の告白-私が殺人犯です-』と作家性の強い個性的な作品からエンタメ大作まで、ハイレベルな演出力を誇る入江悠。その入江監督が、完全オリジナル作品に挑んだ意欲作です。大沢さんが演じるのは、日本の全国民の個人情報から健康までを完全に管理するAIを開発した天才科学者。いちど仕事を離れて自身を見つめ直し、改めて俳優という仕事と向き合う大沢さんは、どんな気持ちで作品と向き合ったのでしょう?

『AI崩壊』(c)2020映画「AI崩壊」製作委員会

『AI崩壊』
(配給:ワーナー・ブラザース映画)●監督・脚本:入江悠 ●出演:大沢たかお、賀来賢人、広瀬アリス/岩田剛典/髙嶋政宏、芦名星、玉城ティナ、余貴美子/松嶋菜々子、三浦友和 ●1月31日全国ロードショー

(あらすじ)
2030年、桐生浩介(大沢たかお)が亡き妻、望(松嶋菜々子)のために開発した医療AI「のぞみ」はいまや全国民の個人情報、健康のすべてを管理するライフラインに。桐生との共同開発者でもあった望の弟、西村(賀来賢人)が「のぞみ」を管理する組織のトップを務めていた。ある日、「のぞみ」が暴走。人間の価値を数値化して選別し、生きる価値のない人間を殺戮し始める。警察庁の桜庭(岩田剛典)は浩介を容疑者に断定し、捜査AIの管理網を駆使して行方を追う。所轄のベテラン刑事である合田(三浦友和)と捜査一課の奥瀬(広瀬アリス)も、足を使ったアナログな捜査で桐生に迫る。

大沢たかお(おおさわ たかお)…東京都出身。2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』のあと、映画『キングダム』に出演。舞台『The King&I』ではロンドン公演に挑んだ。

戻ってくる気は、それほどなかった

都会的でどこかスマートな大人の男、大沢たかおさん自身にはそんな印象があります。けれどひとたび役を与えられると、それが一変。たとえそれがどんな役柄であっても、演じることへの圧倒的な熱が込められているのが画面を通してもびしびしと伝わってきます。ストイックで、それをあからさまにはすまいという決意があるからこそ、その熱は隠しきれないというような。そしてその熱は、年齢を重ねても幾多の役を演じてきても変わらないのです。なぜそんなことが可能なのでしょう?

そんな大沢さんはNHK大河ドラマ『花燃ゆ』のあと2年ほどお仕事を離れ、このたび最新主演映画『AI崩壊』が完成しました。活動再開後、仕事へ取組む姿勢や気構えに変化はあったのでしょうか?

「そう……もちろん変化というのは……う~ん。正直言って、戻ってくる気もそれほどなかったんですよね。極端なことをいうと、ですよ。自分の中に明確な想いが湧かない限りは作品をやってもきっといい結果が出ないだろうと思ったし。それでちょっと時間が空いてしまって。そもそも……スリリングななにかを求めてこの仕事を26歳のころに始めたんですよね。それでデビュー当時は、1本やったら辞めるくらいの気持ちでいました。やったことのない仕事なので衝撃的なほど大変でしたし、誰よりも準備をしたつもりです。そのあとの二十数年と比較しても、あれほどがんばった1年間はありません」

それから二十数年が経過して、演技へ向かう気持ちに変化が?

「デビュー当時のその感覚がなんとなくずっとあるけど、一方で、やればやるほど経験は増えますよね。自分にとって、それはマイナスで。新しい発想が出てこなくなったり、こうすればこうなるという、経験から来る要領のよさが身についてしまう。出演しなかった作品を含めたら大変な数の台本を読んできたので、このあたりで観客はこう思って……等と読めるようになるんです。その時点で演技プランがイメージできてしまう。それでだんだんと息がつまるようで、仕事を面白く思えなくなっていました。休業前、この仕事に戻る戻らないはどっちでもよかったのですが、二十数年やってきて、もういちどそんなスリルを感じられる作品と出会えるなら。それだけをやって辞めよう!そう思ったんです」

これはやらないとマズい、そう思えるものをやる

『AI崩壊』は俳優として、再びスリルを感じられる作品に思えたと?

「そうそう。今回の『AI崩壊』や『キングダム』、イギリスのウェスエンドで半年間やった舞台『The King&I』が、たまたまそんな風に感じられる作品でした。当然それぞれに理由はありますが、どれもふつうにやったらうまくいかないだろう、簡単に思いつくイメージでやったら失敗するかも、行けるところのギリギリまで表現しないと評価されないはず――そう思わせるところが共通していました。そのなかでこの『AI崩壊』では、AIというものに興味があったこともじつは理由のひとつです」

もともとAIに興味があったんですね?

「でも、それだけじゃ作品に向かう気持ちとしてはぜんぜん足りなくて。もうひとつ、オリジナル脚本という要素もありました。この映画は規模の大きい作品ですが、今の時代にそれをオリジナル脚本で撮ろうとする、そんなトライはなかなかしませんよね。むしろ逆方向に、どんどんシュリンク(=縮小)していって、内容的にもなるべくリスクのないものをやろうとする傾向が強くなっていると思うんです。でもそういうものを僕がやる必要は全然ないなと。これはやらないとマズい、そう思えるものをやる。もちろん入江監督の作品が僕は好きだというのもあったし、自分の過去の経験値がまったく通用しないところで勝負しないと勝てないだろう。“勝てない”というか、成立しないなと。だからこそ、この映画に参加させてもらおうと思ったんです」

1 2