2020年、日本でもようやく定額制(サブスクリプション)の音楽配信サービスが主流になりつつあります。そこで今回は世界最大の音楽ストリーミングサービスであるSpotifyの日本法人、スポティファイジャパン株式会社コンテンツ統括・芦澤紀子さんに、現場から見た日本の音楽シーンや新しいヒットの仕組み、これからブレイク必至の注目アーティストをうかがってきました。

Spotify Japanコンテンツ統括の芦澤さん。
ここからは2020年、Spotifyが注目するアーティストについてスポティファイジャパンの芦澤さんにうかがっていきましょう。
スポティファイジャパンでは「Early Noise」と、Spotifyがその年に注目する次世代アーティストを年初に発表し、1年を通じて同名のプレイリストやライブイベントをサポートするプログラムがあることは以前お話しいただきました。
今年選ばれたアーティストはどういう顔ぶれなのでしょうか。そしてこの中から、あいみょん「マリーゴールド」やOfficial髭男dism「Pretender」のようにストリーミング発のヒット曲が生まれるのでしょうか。いまから注目しておきたいところです。
これからブレイクしそうなアーティストは!?
芦澤さん:「Early Noise」といって、Spotifyがその年に注目する次世代アーティストを年初に発表し、1年を通じて同名のプレイリストやライブイベントで音楽ファンに積極的に紹介するプログラムがあるんですけれども、今年選ばれたアーティストがこちらです。
<Early Noise 2020 選出アーティスト>
神山羊
Karin.
ゲシュタルト乙女
Daichi Yamamoto
Novelbright
Vaundy
藤井 風
Friday Night Plans
Maica_n
Rina Sawayama
(50音順)

2020年のEarly Noiseアーティストたち。
データと人間の目利き力で選ぶ次世代のスター
芦澤さん:Spotifyではアメリカを中心に才能ある新人を初期段階から長期間応援していくプログラムをいくつか実施しており、これまでカナダ出身のショーン・メンデス(Shawn Mendes)やニュージーランド出身のロード(Lorde)がトップアーティストに成長しています。
これは“アーティストをブレイクさせるため新人の段階から応援していくことはストリーミングサービスの担うべき役割である”という、強い企業理念のもとに始まったプログラムなんです。
「Early Noise」という名前は同様のプログラムを2017年に日本でスタートする際、せっかくならグローバルで展開しているものとは違う独自のネーミングにしましょうということで社内でディスカッションをして決めました。毎年10組ほど選出していて、2017年は「あいみょん」「yahyel」「STUTS」、2018年は「CHAI」「あっこゴリラ」、2019年は「King Gnu」「中村佳穂」「ずっと真夜中でいいのに。」といった方々をサポートさせていただきました。
「Early Noise」アーティストを決めるポイントは大きく2つあって、ひとつはリスニングデータです。楽曲の再生回数だけでなく、最後まで聴き通される率、スキップされる率、リスナーが自分のライブラリに保存する率がどのくらいかといったデータを見ることで、アーティストがポジティブに受け止められているかどうかわかるんですね。最初の曲が好評だった場合、次の曲を出したときの反応速度が速ければ、そのアーティストは期待値が高いということですし、プレイリストの中に置かれたとき飛ばさずに聴かれる率が高い曲はそれだけ魅力があるわけです。
もうひとつはSpotifyのスタッフ、エディターの目利き力です。やはり年間を通じて選出アーティストをバックアップしていきたいと考えているので、データだけではなくこれからのリリース予定でしたり、ライブを行なっているアーティストだったらお客さんの反応だったり、ヒューマンな部分も合わせて最終的に決めさせていただいています。