前回はストリーミング配信によって、リスナーの再生回数をダイレクトに反映した新しいヒットの仕組みについてお話しいただきました。~その1~はコチラ。
サブスクリプション方式が浸透することによって日本でも音楽との付き合い方が少しずつ変わりつつあります。引き続き、スポティファイジャパンの芦澤さんに解説していただきます。

スポティファイジャパンの芦澤紀子さん。
1人当たりの平均再生時間は2時間以上
芦澤さん:Spotifyとしてはリスナーの方がストリーミングでお気に入りのアーティストを発見し、さらに深く掘り下げることでより音楽そのものを好きになってもらいたいと考えています。
最初にCDセールスのお話がありましたが、日本の場合ストリーミングはフィジカルと競い合うものではなく、その人の目的や時間の過ごし方によって使い分けるものだと思います。アーティストを応援するためにCDも買うし、普段聴く時にはストリーミングでといったスタイルですね。
ストリーミングの特徴のひとつに、これまでまったく聴いてこなかったジャンルとの出会いがあります。
CDショップがメインだった時代は邦楽と洋楽でフロアが分かれていますし、雑誌で情報を得ようと思ってもカテゴリーごとに専門誌を読まなければいけませんでした。Spotifyでは洋楽邦楽や異なるジャンルを取り混ぜたプレイリストをたくさん用意していますので、垣根なく触れていただきやすい環境ではあります。
ライブでもフェスが大人気なように、お目当ての曲だけをダイレクトに聴くのではなく新しい音楽に出会う聴き方が特に若い世代に広がっている印象を受けます。
日本でSpotifyのサービスが始まって、もうすぐ3年半になります。ユーザーの年齢層で一番多いのが20代後半。1人当たりの1日の平均再生時間は2時間を越えます。
毎日2時間以上聴かれている音楽サービスは他にあまりないと思いますし、しかもこれがどんどん伸びているんです。これはやはりマルチデバイスにシームレスで対応していることが大きいです。朝起きてスマートスピーカーで聴いて、スマートフォンで続きを聴きながら学校や会社に行って、家に帰ったらまたスマートスピーカーで聴くことがストレスなくできるので、1日中音楽に触れていられます。
最初は自分の聴きたいものだけ聴きたくてアカウントを作った方も、だんだん自分の知らない音楽に出会う魅力にハマって、結果的に音楽への接触時間が長くなっていくわけです。しかもデジタルネイティブ世代だけでなく、フィジカル世代の方も例えばクイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットを機に懐かしいなと思って聴いてみたら、同じ時期に流行ったヒット曲もあるじゃないかということで、どんどん掘り下げていくといった傾向があります。