新型コロナウイルス感染拡大防止のために、リモートワークになったり外出自粛になったりして、体重が増えることを「コロナ太り」という。本誌は自粛にまつわる体型変化について、首都圏在住の30代の女性30人にリサーチ。8割の人がコロナ禍以前よりも体重が増えていると答えた。
そのうちにこの1か月で体重が5キロ以上増えた人2名と、その一方で3キロ以上痩せた人2名にインタビューした。
【その1はこちら】
本稿では、「コロナ太り」とは逆に「コロナ痩せ」した人のインタビューを紹介する。
月15~20万円の外食費が0円に
前田夏希さん(仮名・39歳・身長155cm)は、外出自粛以前は53キロだったが、1か月半で4キロ落ちた。その原因は、それまで月に15万円ほど費やしていた、ライフワークともいえる外食ができなくなったからだ。
「“最後の晩餐”は、3月23日。超予約困難店で大好きなお寿司屋さんから、『明日でしばらく休みます』という連絡が来て、グルメ仲間と行きました。名前の知れたブロガーの方も来ていた。10人が白木のカウンターにズラリと並び、大将が握る寿司を出された順に食べまくりました。数えた人によると全部で20貫。日本酒もたらふく飲みました」
この時の勘定は4万5000円。
「安いものです。私は服も美容も興味がない。飲食店と料理が織りなす、劇場的な感動だけが生きがいなんです。私の仕事は小さな会社の経営者です。もともと不景気な業界で固いクライアントさんから、コツコツと仕事をいただいているので、コロナの影響はほとんどありません」
それまで、毎日のように予約困難レストランで会食をしていた。
「予約困難店をおさえてくれる美食仲間に誘われるまま、肉、寿司、中華、フォアグラ鍋、イタリアン、フレンチ……と食べ歩いていました。月の外食代は15~20万円。我ながらよく食べたものです」
夏希さんは、1日1食生活を15年間続けていた。
「夜に美味しいものをドーンと食べて、それ以外のつまらない食べ物は口にしない。夜の感動を楽しみに生きてきたので、それがなくなってしまい、何のために生きているかわからなくなり、軽いうつ状態になりました。何を食べても楽しくなくて、食べる量が激減。体重は減りましたが、白髪は爆増し、この1か月で10歳は老けたと思います」
多くの予約困難店が、テイクアウトメニューも始めているが、興味がないという。
「普通の人が入れない店に、それ相応の仲間と行ける自分を誇らしく思っていた。テイクアウトで買ってきて、ウチの汚部屋で食べても罰ゲームみたいなもの。かといって自炊は苦手。毎日、白飯に納豆を食べています。でも、美味しくないからすぐお腹いっぱいになる」
今、名店がランチ営業を始めたという情報を得ては、ちょいちょい食べに行っているのだという。
「ウイルス感染も怖いし、いまいちアガらない。これ以上痩せると、老婆のようになってしまうので、仕事を頑張りつつ、現状維持をしていきたいです」
38歳・シングルマザーは給食がなくなってから5キロ痩せた