堅実女子ニュース&まとめ やさぐれた山﨑賢人の色気がだだ漏れ――映画『劇場』に見る、どうしようもない男の愛し方

『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹による原作を、『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』とさまざまなカタチの恋愛を描いてきた行定勲監督が映画化した『劇場』。自らを「恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間」という又吉が描くのは、どうしようもない男と、そんな男にどうしようもなく惹かれてしまい、その恋から抜け出せない女子による恋愛。というにはあまりにどうしようもない、けれどどうにも心惹かれるラブストーリーなのです!

『劇場』
(c)2020「劇場」製作委員会

『劇場』
(配給:吉本興業)●原作:又吉直樹「劇場」(新潮文庫) ●監督:行定勲 ●脚本:蓬莱竜太 ●音楽:曽我部恵一 ●出演:山﨑賢人 松岡茉優 寛一郎 伊藤沙莉 上川周作 大友律/井口理(King Gnu) 三浦誠己 浅香航大 ●7月17日より公開 配信

(あらすじ)
永田(山﨑賢人)は高校からの連れである野原(寛一郎)と劇団「おろか」を立ち上げ、脚本&演出を手掛けるも、活動に行き詰っていた。ある日、女優になる夢を抱き、服飾の学校に通う沙希(松岡茉優)と出会い、永田は沙希の家に転がり込む。沙希は永田の才能を信じて支えるが、永田の仕事はなかなか好転しない……。

原作は、又吉が手掛けた恋愛小説

又吉直樹が恋愛小説を書く――なんとなく、その“食べ合わせ”のようなものは最初、しっくりこないように思えました。漫才コンビ「ピース」の又吉としてのあの超低温な佇まい、そう簡単には誰にも心を開きそうもない雰囲気をいつでもまとった風情。もちろん勝手な印象ですが、そんな又吉が、生きてるって楽しい!恋愛ってステキ!みたいなキラキラした恋愛を描く!? うそ~ん、みたいな。

けれどそもそも、「恋愛モノはこんな感じ」という入り口がちょっと間違っていた気もします。男と女ってこんなふうに、自分の意志ではどうにもならないものなのよね……と縄のれんをくぐり抜けて腰掛けたカウンターだけの小さなバーで一人、お酒をすすりながら語りたくなるような、そんなものなのかもしれません。

いや、そんな映画ではないです(ん?そんな映画かも!?)。これは下北沢とか高円寺とかにいまこの瞬間もたくさん息づいているかもしれない、クリエイティブ系の夢をなんとなく追いかける男と、そんな彼の才能をひたすらにまっすぐに信じて支える女子の、ある意味とても純な物語なのです。

主人公は永田✕。彼はもう、見た目が胡散臭い。伸ばしっぱなしの髪の毛、モヤっとあごのラインを隠すような無精ひげ、なんか猫背な歩き方。それを山﨑賢人が演じると、それでもちゃんと胡散臭さが漂うのですが(←それがスゴイ!)、映画の中心に立つのにふさわしい、絶妙な色気が漂います。壁とかをドン!するよりよっぽどインパクト大です。この永田がまた、びっくりギョーテンなキャラクターなのです。

永田(山﨑)は沙希(松岡)を街中で見かけ、「こんなヤツにこんな風に誘われても、絶対にお茶に行ったりしないよな」という誘い方で声を掛ける。でもそこは、山﨑賢人だし!
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