堅実女子ニュース&まとめ 吉高由里子の輝きに心惹かれ、愛する女性を前にキョドる横浜流星に萌える――映画『きみの瞳(め)が問いかけている』

これぞ“三木ワールド”

目の不自由な女の子と、謎めいた過去を持つ孤独な男。ものすごくいろんなエピソードを盛れそうな設定です。そして実際に、コレでもか!と盛られて行きます。

まず明香里は視力の問題を抱えながらも仕事を持ち、一人暮らしをして自立して生きようとする、ポジティブで軽やかな心を持つ女の子です。けれど実はある心の傷も抱えているし、目が不自由なことからくる不幸な出来事が新たに彼女を襲います。一方で塁はかつて将来を嘱望されたキックボクサーでしたが、ある事件を起こして夢を絶たれ、欝々とした日々を過ごしていました。しかも幼いころに母親を亡くし、修道院の児童養護施設で育ったという生い立ちまで抱えています。

いわばそれぞれに逆境だらけ。ふつうなら、いやそれ盛り過ぎだろう!と思うところですが、そうならないのが不思議です。そもそもチャップリンの映画『街の灯』をモチーフにした韓国映画『ただ君だけ』のリメイクなので、盛り盛りな理由をそこに見出すこともできそうですが、もはやそんなことは関係ない感じ。なぜなのでしょう?

まず三木孝浩監督はこのストーリーを完全に自分のモノにして、揺るぎなく“三木ワールド”を構築していきます。光に溢れた美しい映像、それぞれの心情を丹念にすくいとっていく演出。ひとつひとつに説得力があるので、観る側が「え~?」とか思う瞬間を与える隙をつくりません。

どんな役をやっても、ナチュラル!と思わせる本物の演技派。

そして吉高由里子と横浜流星です。二人には、実に8歳もの年齢差があります。でも本当に、それをまったく感じさせない。その違和感のなさは、吉高由里子の在り方による気がします。若い役だからとそれっぽい衣裳を着るでもなく、溌剌とした動きをするわけでもない。それでいて横浜流星と並んでラブストーリーを語るヒロインとして、“でも”も“もしも”も照れもなし。激動の日々を送る二人を体現するにも、ただただその運命を受け入れて、当たりまえのこととしてごく自然にカメラ前に存在してみせます。とても当たり前で簡単なことのようですが、その凄味がボディーブローのように腹にこたえ、映画が終わるころにはこてんぱんにヤラれてしまう……そんな感じ。

対する横浜流星も魅せます。既に述べた、冒頭から感じさせる繊細な心理描写はもちろんのこと。塁は元キックボクサーという設定です。そして過去、ワルだった時代に地下賭博格闘技のファイターをやっていたのですが、このシーンが超絶カッコいい!ご存知のように彼は極真空手をやっていて、中学時代に世界大会で優勝(!)した経験を持っています。この映画のために体重を10キロ増量、プロの手ほどきで丸2か月ものトレーニングをしたというその本気が、画面からびしばし伝わります。プロを相手にした試合のシーンも「とにかく楽しかったです。最高でした」とか言っちゃう、その本物感に惹き込まれるはずです。

エンディングに流れるBTSの曲を聴きながら、良質な作品を観た満足感でいっぱいに。ありそうでなかなかない、そんなラブストーリーなのです。

この肩の筋肉を見よ。

文・浅見祥子

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