目に見えないからこそ扱いが非常に難しい“心”の疲れ。特にコロナ禍においては、これまでにない環境に長い期間身を置くことで、気付かない疲れがたまりやすくなっています。パーっと旅行に行くのもままならない今だからこそ、自分自身で心をいたわる方法を身につけたいもの。

今回は、マインドフルネスにも近い「セルフコンパッション」の考え方や、それに基づいた自分を優しく受け入れる方法などをご紹介します。
セルフコンパッションの考え方とその効果
セルフコンパッションとは?
セフルコンパッションを直訳すると、「自己への思いやり」となります。しかし、ここでいうコンパッションは、仏教の考えに基づいた「すべての人の幸福を願い、落ち着いた心をもつ様」を表すもの。そしてこのコンパッションを他者だけでなく自分に対しても持つことを、セルフコンパッションというのです。
誰しも仕事がうまくいかない時や人間関係に問題を抱えている時には、自分の悪い面やうまくできなかった部分に注目してしまいがち……。そして悪い点ばかりに気を取られて、良い面に視点を移せなくなってしまいます。
ですが、本来はたとえ失敗した仕事があったとしても、その中でうまくできた点や次に繋がる点があるはず。セルフコンパッションを知り、実践していくことで、自分や物事の悪い点だけではなく良い点にも目を向けられます。そして、さまざまな感情を受け入れていくことにより、自分への優しさを高め、幸福感を得ることができるのです。
仏教やマインドフルネスとの違い
仏教の考え方
簡単に言うと、仏教の教えは「今あるものを全てありのままに受け入れること」。今ある現状に満足せずにその先にあるものを求めようとすると、かえって不幸な感情が生まれます。手にしていない物を欲しすぎず、現状に満足することで、安定や幸福感をえようとするのが仏教です。
ただ、この方法では「本当はもっと欲しいが、欲しがらないようにしよう」という“考え方の変更”が必要になります。
マインドフルネスの考え方
一方マインドフルネスは、今感じている欲もすべて、何の判断もすることなくただ“気付くこと”が大切です。そのため、欲がある場合にもそのまま感じ、ただそれについて判断せずに受け入れようとします。
セルフコンパッションの考え方
仏教の考え方から派生したマインドフルネス。そしてマインドフルネスを含みつつ、更に自分への優しさを高めていくことがセルフコンパッションです。
「こんな些細なことでこれほど悩むなんて自分はなんて弱い人間なんだ」と抱えている感情に対し“悪い”と判断はせず、ただ「私は○○を不安、ストレスに感じているのだ」と受け入れます。そして、それらの不安やストレスは人類共通のものであり、自分だけが弱いから感じているのではないということを知り、孤独感から解放されるのです。
さらに自分の良い点をしっかりと把握し、自分への優しさを高めていくことで、他人にも優しくなり、仏教で求めるところの「コンパッション(すべての人の幸福を願い、落ち着いた心を持つ様)」に辿り着くことこそが、セルフコンパッションです。