堅実女子ニュース&まとめ 「普通ってなに?」成田凌&清原果耶の今の勢いをギュッと凝縮した映画『まともじゃないのは君も一緒』

なんだかしょっちゅう、画面の中の成田凌を見かける気がする――。現在朝ドラ『おちょやん』でヒロインの夫を演じている彼の最新作は、次期朝ドラ『おかえりモネ』でヒロインを演じる清原果耶と、W主演を務める映画『まともじゃないのは君も一緒』。つまりは“今旬”な勢いと輝きをまとった二人による、ちょっと凸凹で噛み合わない二人の、めっちゃ噛み合ったセリフの応酬に心を鷲掴みにされる楽し~楽し~映画なのです!

(c)「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

『まともじゃないのは君も一緒』
(配給:エイベックス・ピクチャーズ)●監督:前田弘二 ●脚本:高田亮 ●出演:成田凌、清原果耶、小泉孝太郎、泉里香 ●2021年3月19日より全国ロードショー

【Story】
世間知らずで常識に疎い予備校講師の大野(成田凌)。大野の生徒で、SNSなどで情報だけは頭にたっぷり詰め込まれていて、なんでも知った気でいる予備校生の香住(清原果耶)は、子ども向けの知育玩具を手掛け、爽やかに理想の教育を語る宮本(小泉孝太郎)に心酔していた。このままじゃ一生結婚できないかも、と不安を抱いた大野はある日香住にアドバイスを求める。「女の人と上手く付き合えるようになる練習をしてみたら?」、香住は宮本の婚約者の美奈子(泉里香)を口説かせようとするが……。

『婚前特急』の監督&脚本コンビ

やたら色っぽかったり存在に切なさを充満させたり、”なにを考えているのかわからない”という強烈な吸引力で全女子を惹きつけたり、キレッキレの殺人者だったり――。最近の成田凌はどんな役柄も縦横無尽にイキイキと、センスあるやり方で演じて、テレビに映画に、同年代の多くの俳優が「これ出演したい!」と思うような作品に片っ端からキャスティングされているように思えます。彼を表すのにもはや「メンズノンノ専属モデル出身」みたいな枕詞は不要。現在27歳、作品毎に演技力に磨きをかけ、俳優として面白いことになっています。

一方の清原果耶はまだ19歳! 注目され始めた中学生のころから、その佇まいはザ・女優。どんな凄腕役者が相手でも堂々としていて臆するところはゼロ。作品が描く世界にすんなりとハマり、求められた役柄をキチンと構築し、口にするセリフはいつでもナチュラルに響いてそこに込められた感情には嘘がないように思えるのです。すげ~な、十代でその域!

そんな二人がW主演というカタチで共演したのが映画『まともじゃないのは君も一緒』です。しかもあの名作(→いや本当に!)『婚前特急』の前田弘二監督&高田亮脚本のコンビ。それ面白そう! と、期待感は青天井です。『婚前特急』を観れば誰もがきっとそう思うのではないでしょうか。一面的ではなくてツッコミどころ満載なキャラクター造型、散りばめられるトボけた笑い、なんだかおかしみを感じるセリフのやりとり、そして本当の意味で予想できない方向にあれよあれよで展開していくストーリー。それらはさらに洗練されたカタチで、『まともじゃないのは君も一緒』のなかで結実しているのです。

大野(成田凌)は香住(清原果耶)に振り回されます。でも相性ピッタリ。

社交性ゼロの大野と、恋愛経験ゼロの香住という凸凹コンビ

成田凌が演じるのは勉強ばっかりしてきて頭の中は数字でいっぱい、世間知らずで常識というものがごっそりと抜け落ちた予備校講師の大野。くしゃっとした辛子色のブルゾンをはおって食事に現れ、「それどこで売ってるの?」と聞かれて「スーパーの2階で70%オフで買った」と得意げに言い放ち、猫背で、相手の質問をすぐにオウム返しします。女の子に「好きなんです」と告られて「それ定量的に言ってくれるかな?」と返してしまう。誰かとごく普通に、気持ちのこもった言葉のやりとりをする姿がいまひとつ想像できません。これから言おうとすることを口にする前にもう自分で笑ってしまったりして、ヘンな笑い声が響いて相手をより引かせてしまう、そんな人です。

一方で清原果耶の演じる予備校生の香住は、きゃぴきゃぴと同級生が噂話する輪の中にはいるけれど、特に会話に参加することはありません。それでいてときおりクールにボソっと、普通なら言いにくいことをグサっと真顔で言い切ってしまう。異様にしっかりしていて年齢を超えて大人の風情で、若いからこその怖いものなしでもあります。そんな彼女にも引きそうになりますが、実は恋愛経験ゼロで夢見がちな女の子でもあるのです。妙に説得力あるセリフはたんにネットから仕入れた情報なのか、実体験が伴ってなかったりもして。小泉孝太郎演じる宮本のような、好感度だけはやたらに高くてまっとうそうだけど、なんだか中身がすっかすか! みたいな男の、理想的側面だけを無垢に信じてしまう女の子です。

隣にいたら、面倒くせ~な! みたいな二人。まさに「一面的ではなくてツッコミどころ満載なキャラクター造型」です。果たして彼らが、どんなストーリーをつむぐのでしょう?

香住は大野に、憧れの宮本(小泉孝太郎)の婚約者、美奈子(泉里香)を口説かせようとするが。

大野と香住は年齢も性格も凸凹なのに、会話をするとなんだかピッタリ! というのが、まずこの映画の入り口にしてとても大きな見どころです。

「顔もスタイルもいいのにもったいないね。中身がまともなら絶対彼女出来るのに、普通に会話できれば」
「普通? 僕は自分では普通だと思ってるんだけど、君の普通と僕の普通は違うみたいだからいくつか教えてもらっていい?」

食い気味に展開する膨大なセリフによるテンポ感あるやりとり。大野と香住を演じる成田と清原は息がぴったり、相性抜群です。すでに台本の段階でかなり笑えたであろう会話を、二人が演じることによってちゃんとリアルに着地し、人間同士のやりとりだからこそのおかしな間が生れてクスっと笑えます。

大野をコミュ障の変人と捉える人もいるかもしれませんが(それはそうかも)、理系らしい(?)素直な性格でもあります。世間一般で普通とされることを知らないのはどーなの? と思うも、知らないことをそのまま受け止め、「で、普通ってどういうこと?」と自分の頭で考え、普通じゃないかもしれない自分を変えようとします。

そんな大野に香住は普通とはどんなものか教えようとし、ついでに自分の恋、のようなものを実らせようとするうち、「あれ? 人を好きになるってどういうこと?」と、自分が何も知ってはいなかったことに気づいて混乱していくのです。

それにしても成田凌、あの見た目でなぜこれほどに冴えない男を説得力を持って演じられるのでしょう? 清原果耶は頭でっかちでありながら無垢で夢見がちでもある予備校生を、なぜこれほど繊細に実在感を伴って構築できるの? 二人が多くのつくり手から求められるのもそりゃそ~だ! と深く納得しました。

大野の恋が上手くいきそうになり、エナジードリンクで泥酔したように荒れる香住。なんで私が? と混乱中。

文・浅見祥子