2008年に起きた「リーマンショック」を覚えていますか? 米証券会社の破綻は世界全体に大きな影響を与え、日本でも連日報道されました。職を追われた人々が段ボール箱を抱え、ウォールストリートのビルから次々と出てくる姿がテレビで放送されていたのを記憶されている方もいるかもしれません。

今回は、筆者の実体験をまじえながらリーマンショックについて解説していきます。
低所得者層がマイホームを買えたのはなぜ……?
筆者は学生時代(2000年頃)、カリフォルニア州サンタバーバラから車で30分ほどの場所にあるランポックという町でホームステイしていました。滞在先の家庭は、水道工の父親と弁護士事務所のアルバイトとして働く母親、そして1歳から小学生までの3人の子どもがいる5人家族でした。さほど裕福というわけではなさそうでしたが、それでも大きな敷地、3つのベッドルーム、広いリビングなど……素敵なマイホームを購入していました。
大学生だったわたしは、「アメリカは“普通”に働いていても豪邸が買える夢の国だ!」と感じたものです。しかし、今思えばこの現象こそ、のちにリーマンショックにつながる低所得層向けの住宅ローン「サブプライムローン」だったのでしょう。
サブプライムローンって?
借り手が借りやすい金利設定
当時のアメリカでは、誰もが家を購入できるよう非常に甘い住宅ローン審査(=サブプライムローン)が一般化しており、住宅価格も順調に上昇していました。
低所得者向けのローンは、通常のローンに比べて当然返せなくなるリスクも高いはず。そのため、貸し手は金利を高く設定してリスクを下げる必要があります。ところが当時のアメリカでは、お金を借りやすくなるよう「借入後2年間は低金利を固定で借りられる」「最初は金利のみの支払いで、元本は支払わなくてよい」といった特別措置がとられていました。

無謀にも思える金利設定により、「これなら夢のマイホームが手に入る!」と考えた低所得層の人々がこぞってマイホームを購入したのです。
住宅価格が下がったら崩壊するシステム
当然、この特別措置は“永遠”ではありません。時間が経つと高い金利を支払わなければならなくなり、借り手は「金利が上昇するタイミングで家を担保にいれ、安い金利のローンに借り換える」というサイクルを繰り返していました。
当時のアメリカは住宅バブルの真っ只中で、サブプライムローンは住宅価格の上昇に依存したシステムです。これは、本来借りてはいけないお金を借りさせられていたようなもの。住宅価格に依存しているあたりは日本のバブル真っ只中を想起させます。