堅実女子ニュース&まとめ RADWIMPS野田洋次郎インタビュー!映画『キネマの神様』で山田洋次監督から受けた刺激とは?【前編】

『神は細部に宿る』という言葉を僕は信じている

物静かで思慮深く、正直でフラットで、普通の感覚を持っている野田さん。研ぎ澄まされた言葉に聞き入ってしまう。 PHOTO:黒石あみ

――演技そのものが初めてだった映画『トイレのピエタ』では「自分が洋次郎だかその役だかわからないくらいに同化して、こんなに現実と境目がなくなるのかとビックリした」と。その後、俳優としての経験を重ね、演じることへの意識はどのように変化しましたか?

「あのときは本当に初めての映画体験で。演じるということが自分の中でしっくりこなかったからこそ、もうその人を生きるしかないというか……。特に死んでいく役だったので、終盤は辛かった思い出があります。

それでいま、テラシンを演じるときはもう一歩引いて。なにしろ山田洋次監督の映画に出ているわけで、そんな自分をどこかから見て、存分に楽しんでもいました。そういう意味では確かに演じる上でも、何段階かの自分が生まれてきた気はしますね」

――「(映画の)カットとカットの間に神様が宿る」というテラシンのセリフがあります。音楽にもそういう瞬間が?

「『神は細部に宿る』という言葉を僕は信じていて、とにかく諦めないというか……。

いろんな楽器の音が積み重なって曲をつくっていくんですけど、別にいらないんじゃないですか? なんで何時間もこだわるの? と思われるようなところに、その曲の雰囲気や気配を決定づけるなにかが、きっと存在すると信じてつくります。

聴こえるか聴こえないかわからないかもしれないけど、そこに絶対、存在しなきゃいけない音みたいなものはあると。きっと山田監督もそういう人じゃないかなと思うんです。

シーンのいちばん端っこのなにか、色か明かりか、美術なのか照明かわからないですけど、そこに手を抜いた瞬間、そのシーンのすべてが損なわれてしまうという思いがある。細部にまですべてのカットに意味があって、そのすべてのカットが映画自体をつくっている、そういう意識があるのだと思います」

――撮影現場で山田監督の姿を間近で見て、共通点を感じたと?

「ああもう、ものすごく影響を受けましたね。あの年齢になってもきっと初めて監督をした作品からまったく変わらない、映画づくりの熱が加速しているんじゃないかという気もします。

撮影の合間、休憩や移動のときは誰かに支えてもらったりもしてましたが、セットに入った瞬間からもう誰よりも大きな声で、誰よりその瞬間に集中して生きている。それをそこにいたすべての人が感じたと思います。本当にスゴかったです」

インタビュー【後編】に続きます。

文・浅見祥子

(c)2021「キネマの神様」製作委員会

『キネマの神様』
(配給:松竹)●監督:山田洋次 ●脚本:山田洋次・朝原雄三 ●出演:沢田研二 菅田将暉  永野芽都 野田洋次郎 / 北川景子 寺島しのぶ 小林稔侍 宮本信子 ●2021年8月6日全国ロードショー

【Story】
酒とギャンブルが好きなゴウ(沢田研二)は借金とりに追われ、妻の淑子(宮本信子)や娘の歩(寺島しのぶ)にも見放される始末。名画座の館主・テラシン(小林稔侍)とはかつて、かつて映画の撮影所で働く仲間だった。テラシンの映画館で昔の映画を観ながら、若き日の自分を思い出す――。ゴウ(菅田将暉)は映画監督を夢見る助監督で、映写技師のテラシン(野田洋次郎)やスター女優の園子(北川景子)、撮影所近くにある食堂の看板娘・淑子(永野芽都)らに囲まれて懸命に日々を生きていた。やがて夢をつかみ、監督デビューが決まる。しかし撮影初日にゴウ自身が大怪我を負ってしまう。

1 2