堅実女子ニュース&まとめ RADWIMPS野田洋次郎インタビュー!映画『キネマの神様』で山田洋次監督から受けた刺激とは?【後編】

最後には爽やかな後味を与えてくれる、本当に奇跡的な映画

主題歌である「うたかた歌」は、この映画がなかったら生まれなかった曲! PHOTO:黒石あみ

――完成した映画を観た感想は?

「製作が決まって台本ができてから、これほどの困難が降り注いだ映画も……いやわからない。この時期はすべての映画が大変だったと思うんですけど、でもやはり、撮影がスタートした映画の主演の方がお亡くなりになるという、そんな悲しすぎることはそうそうないですよね。

でも、そんな不幸をみんなが背中にしょいながら、作品内では、それを顔色ひとつ見せていないのが、本当にすごいなと。映画の登場人物も同じように、みんながどこかで不幸を抱えながらも、最後には爽やかな後味を与えてくれるんです。本当に奇跡的な映画だなって」

――主題歌「うたかた歌」について、「この映画で描かれた美しさみたいなものがいつまでもいつまでも、この曲を聴くことで蘇ってくれたらうれしい」と。その美しさとはなんですか? もっとも正確なカタチは、歌詞を読むしかないとは思うのですが。

「本当に詞のまんまなんですけど……なんだろう? 人生それぞれトシを重ねていって、やっぱりあのときの自分の青春時代がそうだというような、一種のピークのような瞬間は人それぞれあると思うんです。一生青春!という山田洋次監督のような人はなかなかいないというか。

だから、『ねぇやりきれない夜だけ 君を思い出してもいいかい』というあの歌詞は、僕はまだ想像ですけど、あのときがあったからいまの自分が生きられる、そういう感覚を持つ瞬間があると思って。それはピークを過ぎた人生、ということではないんです。

もしかしたら生きていたらまた、あの奇跡のような瞬間がいまの年齢であっても将来的にあるかもしれないよねって。そういうことをこの映画は言っている気がして。

一生忘れたくないキレイな思い出と、それがもしかしたらまだ未来にあるという可能性がほんの少し残っているということと。いや、その可能性はまだいくつかあるかもしれないのだから、明日も生きられるよねって思える。いまっていうものと過去と未来と、その両方に希望を見出せる映画なのかなという気がしました」

――歌詞はどのフレーズからつくっていったのでしょうか?

「冒頭、一行目からだった気がします。(口ずさむ)『夢中になってのめり込んだ ものがそういやあったよな』ってメロディとコードが同時に出てきたんだよな、確か。

まさにこの映画そのものだなと思って。頭から書いていって、そのままサビまで書きました。あそこまで頭から一行一行書いていくことはなかなかないかもしれないですね」

――歌詞がすらすら出てきたと?

「すらすらというか断片は撮影中にあって、具体的になにか書こうと思う前にぽつぽつと浮かんだアイデアのようなものを、台本の隅や携帯にメモしていました。

それでこれは、曲にしておくべきだなと。志村さんのこともあって、あの体験は忘れられないし、忘れるべきじゃない。なにか僕ができる残し方があるんじゃないかなと思って。

だからラスサビとか、志村さんへの想いが……うん。『泣いてんじゃないよ。顔を上げなよ』っていう感覚があって、それをすべて残しておこうという気持ちだったんですよね」

文・浅見祥子

(c)2021「キネマの神様」製作委員会

『キネマの神様』
(配給:松竹)●監督:山田洋次 ●脚本:山田洋次・朝原雄三 ●出演:沢田研二 菅田将暉  永野芽都 野田洋次郎 / 北川景子 寺島しのぶ 小林稔侍 宮本信子 ●2021年8月6日全国ロードショー

【Story】
酒とギャンブルが好きなゴウ(沢田研二)は借金とりに追われ、妻の淑子(宮本信子)や娘の歩(寺島しのぶ)にも見放される始末。名画座の館主・テラシン(小林稔侍)とはかつて、かつて映画の撮影所で働く仲間だった。テラシンの映画館で昔の映画を観ながら、若き日の自分を思い出す――。ゴウ(菅田将暉)は映画監督を夢見る助監督で、映写技師のテラシン(野田洋次郎)やスター女優の園子(北川景子)、撮影所近くにある食堂の看板娘・淑子(永野芽都)らに囲まれて懸命に日々を生きていた。やがて夢をつかみ、監督デビューが決まる。しかし撮影初日にゴウ自身が大怪我を負ってしまう。

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