堅実女子ニュース&まとめ 父親捜しと不器用な恋と。上白石萌歌主演のなんだかサイコーな夏休み!映画『子供はわかってあげない』

田島列島による原作漫画を、『横道世之介』の沖田修一監督が映画化した『子供はわかってあげない』。アニヲタの女子高生が、新興宗教の教祖だった父親を捜す旅? 書道男子との超ぶきっちょな恋の物語? くすくすっと笑えていつの間にか胸がいっぱいになる、そんな素敵な物語です。

『子供はわかってあげない』 (c)2020「子供はわかってあげない」製作委員会 (c)田島列島/講談社

『子供はわかってあげない』
(配給:日活)●監督:沖田修一 ●脚本:ふじきみつ彦 沖田修一 ●原作:田島列島(「子供はわかってあげない」講談社モーニングKC刊) ●出演:上白石萌歌、細田佳央太、千葉雄大、古舘寛治/斉藤由貴/豊川悦司
●2021年8月20日より全国ロードショー

【Story】
高校2年生、水泳部の朔田美波(上白石萌歌)は、書道部の門司昭平(細田佳央太)と出会う。好きなアニメ番組の話題で、一気に距離を縮める二人。ある日、代々書道家という門司君の家に遊びにいった美波は、居間に見覚えのあるお札を見つける。それは生き別れの実父(豊川悦司)が送ってきたものと同じ、新興宗教「光の匣(はこ)」のお札だった。探偵だという門司君の兄(千葉雄大)に頼み、行方不明の父親を捜すことになるが……。

沖田修一監督の演出に唸る

映画の冒頭。あれ? アニメが始まっちゃったな、しかも長いけど……? それはこの映画のヒロインである美波がぱりぽりとお菓子を食べながら、でも真剣に見入るアニメーション番組『魔法左官少女バッファローKOTEKO』。演じる上白石萌歌が、大きな瞳で食い入るように画面を見つめています。

そこは家族四人が暮らす、とあるマンションの一室。部屋を見渡す位置に据えられたカメラが、ごくありふれた日常を過ごす家族の姿を、カットをほとんど入れずに長回しで映し出します。

美波はいつもいつもそのアニメを観ているから、主題歌やそのダンスを覚えてしまっていて、曲が流れると自然に口ずさんで画面のそれとシンクロ、身体が動きます。それは古舘寛治演じる父親も同様のようで娘と二人、「いつもやってるんで」みたいにたらたらっと踊るのです。

その様子をなんとなく目の端に入れつつ、つまみ食いをしながら夕飯の支度をする母親(斉藤由貴)と、お風呂上りなのかパンイチでやってきて、誰の誕生日でもないのに「ハッピーバースデートゥーユー!」と爆音で歌いながらスキップして部屋中を駆け巡る年の離れた弟――。

本当になんてことない日常の一コマなのに、この4人がとてもいー感じの家族であることを、めっちゃ肩の力が抜けた描写で、でも無駄なく必要十分に描いてみせる。沖田修一監督のハイレベルな演出にいきなり唸らされます。はて、これからどんな物語が始まるのでしょう? いきなりぐぐっと、画面へ釘づけになります。

『横道世之介』『モヒカン故郷に帰る』『モリのいる場所』『おらおらでひとりいぐも』、まだ40代の沖田監督ですがとっくに作風は確立していて、オリジナルでも原作モノでも、必ず自分のカラーに染め上げつつ質の高い作品を構築する、ものすごく打率の高い映画監督です。

なにしろ、この監督の作品に出演した俳優はみんなやたらと魅力的に見えます。役柄として自然でありながら、つまりいかにもな熱演とか名演ではないのに、その役として映画のなかに存在していて、その在り方がいつまでも心に残る、というような。

この映画も上白石萌歌と細田佳央太はもちろん、千葉雄大、豊川悦司、そして踊る古舘寛治! 思い出すだけで、にま~っと笑ってしまう味わいなのです。

美波役の上白石萌歌と、実父の藁谷友充役の豊川悦司。豊川は新興宗教の元教祖という役ですが、どんな役でも「そうかも」と思わせる不思議な俳優さん。
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