体育会系で、体力には自信があるコウタさん(仮名/30歳)。ある日、39度の発熱があり、新型コロナウイルス感染を疑うも検査結果は陰性。自宅で1週間の療養をするものの、一向に熱は下がらず…。ある日、体調がかなり悪化し「もうダメだ」と自ら救急車を呼び、搬送されるもPCR検査はやはり陰性。点滴をされ強めの薬で少し気分が良くなります。
次の日、1週間ぶりに出社することができたものの、再び体調は悪化。結局早退することになり、同僚に途中まで送ってもらいましたが、そこからの記憶が突然途切れてしまい、目覚めたら病院のベッドの上だったのです…。
これまでのお話はこちらの前編で。
帰宅途中に警察に保護されていた
無理をして会社に出向き、早退したコウタさんでしたが、そこからの記憶がまったくありませんでした。会社の同僚が途中まで送ってくれたのですが、その間もコウタさんの様子は変だったと言います。
「同僚は『大丈夫か?ここの駅だろ?』とか話しかけてくれていたようなのですが、僕はぼんやりとしながら『うん、うん』と返事はしていたようです。普段より無表情で口数が少なかったそうですが、それは気分が悪いからだと思った、と言っていました」
その後、道でうずくまっていたところを警察に保護されたそうなのですが、これは後に知った話で、コウタさんにはまったく記憶がないのだそう…。
「本当にうっすらぼんやりと、『名前は言える?』とか、ぽんぽん肩を叩かれながら、聞かれたような記憶が浮かぶのですが…。本当に夢の中の記憶よりもうっすら…という感じです。『そう言われると、そんなこともあったかも…』っていう感じですね」
その後、保護された交番で質問を受けている間に痙攣を起こし、座っていたイスから倒れてしまい、救急車で搬送されたとのこと。
「痙攣を起こす前に、警察の人が『様子がおかしい』と、救急車を呼んでくれていたようです。倒れた時に顔をぶつけたらしく、その時のケガの跡がまだあります」
コウタさんのこめかみにある傷跡は、その時切ったものだそう。
「見知らぬ人を見るような目」で母を見る
コウタさんが倒れて搬送された後、身分証などから身元が分かり、地方にいるお母さんに連絡が入ります。
「母は大慌てで新幹線に飛び乗って来たそうです。実はその時、僕は意識がある時もあったそうで、『はい』『いいえ』といった簡単なコミュニケーションは取れていたそうです」
駆けつけたお母さんは、色々な管につながれて朦朧としたコウタさんと面会しますが、「見知らぬ人を見るような目で見られた」と後から聞いたそう。コウタさんには、まったくその記憶はありません。
「母はお医者さんや警察から状況を伝えられて、それを長いLINEで僕に送ってくれていました。母はお医者さんから、『もしかしたら、一生このまま、植物状態になる可能性もあります』と伝えられたそうで、『色々と覚悟をした』と後から聞きました」
一度入院をしたらその間は会えないので(コロナ禍なので)、お母さんはその後、実家に一旦帰ります。お母さんの心労を思うと、お話を聞くだけで胸が痛いですね…。
