あさひさん(35歳・仮名)は不動産会社の営業担当で、入社当初からエース的ポジションにいる女性。
「働けないから浮気夫と別れられない」と嘆く専業主婦の母親を幼い頃に見ていたため、「自分は稼げるようになろう」と強く決意。その想いが根底にあるからこそ、懸命に働く原動力へと繋がっていたのです。
しかし、仕事へ対する姿勢が度を過ぎたのか、あさひさんは後輩へ厳しい指導を行ってしまいます。社内で叱責する日も多く、周囲も面食らうほど。彼女の存在が原因で、会社を後にした新人さえいたとのこと。
このようなことを繰り返しているうちに若手からは避けられ、お局と呼ばれてしまいました。
「あの人が来る飲み会へは行きたくない」という声も耳に入ってきたため、あさひさんは早急に自分自身を変える必要性があることに気付かされ…。
【前編】はコチラ。

自分と同じような覚悟を皆持っていると思っていた
「ここまできてようやく、“私の指導は間違っていたのか”という事実と直面しました。今まで『他の人に厳しすぎるよ~』くらいは言われていたんですけど、上司から教育の件について本気の注意をされたことはなかったんです。
でも、私がいる飲み会へは行きたくない、という意見が出始めた頃、遂に部長から呼び出しを食らいました。『今までのあなたの実績を知っているから言わなかったけど、さすがにやりすぎじゃないの』と…。
もっと時代に合わせた指導をしてくれと今更ながらに言われたのですが、正直なところあまり理解ができず。“時代に合わせた”ってナニ?みたいな感じでした」
彼女曰く“体育会系の世界に入ってくるなら、ある程度の耐性はついている人間だろう”と考えていたとか。けれどもそれが決めつけだったことを、自身で気づくことになるのです。
「稼げる不動産営業という職業を選択するくらいですから、それなりの覚悟を持ってみんな来ていると思っていたんです。実際に私も入社前は厳しいことを想定していましたから。
でも、新人と接していると、やっぱり全員が全員同じなわけじゃないんですよね。“なんとなく”で入社した人もいれば、“無理だったらすぐ辞めればいい”みたいなスタンスの人もいるし。本当に様々です。
緩めのスタンスの人に熱量高く指導しても、あまり気持ちは伝わらりづらいじゃないですか。それなのに、当時の私は自分の気持ちを押し付け、気合いの入った子に育て上げようとしていたのです」