堅実女子ニュース&まとめ 【東京深夜0時・結婚しない女】「家を買えば、愛だけで男を選べる」35歳弁理士・多恵子~その2~

東京に住む、結婚しない女性たち。今回は、弁理士として活躍している多恵子(35歳)。父親の遺産で月島のマンションを購入した彼女が結婚しない理由とは?

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代々木の賃貸マンションを引き払い、月島に引っ越してきたのは、夏の終わりだった。かつて住んでいた家の家具はすべて捨て、代官山と中目黒を回って理想の家具を手に入れた。

最後に迷いに迷って買ったのが、シーリーのセミダブルベッドだった。最後まで迷ったのはサイズで、もしかして結婚するならダブルだけど、一生独身ならシングルで充分だ。散々迷ってセミダブルサイズを選んだのは、男性と住むかもしれないと思ったからだ。

ベッドが届いたその夜は、半端に広い空間に身を横たえながら、“これで私も一国一城の主になった”“一生家には困らなくなった”と心の中で叫び、羽毛布団の中で小躍りした。

それと同時に、3500万円以上の借金を抱え、弁理士として一生働かなくてはいけない現実も襲い掛かって来た。仕事は順調で充実しているし、ずっと勤務しているから事務所の人間関係も良好だ。

多恵子は国際案件も取り扱かっているので、年収はここ3年ほど1千万円程度を維持しているころもあり、ローンの審査は簡単に通った。しかし、父親から「借金は悪」と教え込まれた多恵子にとって住宅購入のためのローンとはいえ、借金は借金だ。それゆえに一刻も早く返済し、元本を減らしてしまいたい。だから、ローンは繰り上げ返済に手数料がかからない銀行を選んだ。

すべての契約が済んだとき、ローンの重荷とは矛盾するようだが、登山者が山登りを終えて重いリュックをおろした時のような身軽さも味わった。それは“結婚への期待”という重荷を持って歩かされている女の人生が、少し軽くなったという実感だ。

多恵子にはこのマンションを買うまで、同世代の弁護士・田村聡と5年間交際していた。知的財産の専門弁護士として新進気鋭の聡とは、30歳の時、勉強会で出会った。名門中高一貫校高から私立名門法学部に進んだエリートだ。父親に似ている聡と、多恵子は結婚を意識した。しかし彼は女性観が屈折しており、快楽主義者だった。彼にとって恋人とは、従順な召使いであり、豪華な海外旅行やレストランのパートナーとして伴う存在でしかなかった。

女はアクセサリーであり、従順な召使である、という男ばかり引き寄せてしまう

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