堅実女子ニュース&まとめ 【東京深夜0時、結婚しない女】孤独な36歳の誕生日、美味しいものだけが真実、化粧品会社プレス・杏奈~その2~

杏奈は完璧主義だ。仕事のスケジュールが狂うからデキ婚などしない。それをした後輩たちは、すべて仕事ができずだらしない女ばかりだった。

杏奈は、予想外の妊娠や結婚をした後輩から「私も杏奈さんのように一人前に仕事がしたかったんですけれど主人に出会い、仕事以外の幸せもあるかな……と感じたんです」とか、「キレイで仕事もできてうらやましいです。私は杏奈さんみたいになれないから、結婚して主人に支えてもらって生きようと思います」などマウンティングされてきた。そのたびに、なんだよ主人って、お前はイヌかよと心の中で思ってきた。

私は一生懸命生きてきた。仕事の手を抜く後輩を厳しく指導し、一人前に育ててきた。今日、このレストランに来る前も、締め切りを2日過ぎて提出されたプレスリリースの半角と全角の数字が混在するというミスを見つけ、後輩を徹底的に叱り、担当したライターを出入り禁止処分にしてきたのだ。

叱るというのは、するほうもされる方もエネルギーを使うが、この年になると叱る側にダメージが多いと感じる。仕事ができるけど怖い女、優しさがない、女の幸せを知らない……美貌がうつろいはじめたと自覚する33歳ころから、同僚や後輩、ときには上司がささやくこれらの言葉がグサグサと刺さるようになった。

「アンナちゃ~ん、私達は独身同士、仲良くいろんなとこに行こうね」とほろ酔いの真理亜が肩を抱き寄せる。しかし、彼女はシングルマザーで6歳の娘がいる。裕福な実家が建てた笹塚の二世帯住宅に住み、美しく若々しい“おばあちゃん”を中心に、真理亜の娘・董子はすくすくと育っている。独身の杏奈に気を使っているのか、真理亜本人は家族のことを何も言わないがSNSを見ればすぐわかる。自分の家族というものを持たない杏奈とは孤独の質が違うのだ。

 

嘘だらけのこの世に、真実と言えるものは愛ではない。

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