【東京深夜0時、結婚しない女】仕事の出来るアネゴ、その心を埋めるのは? 広告代理店勤務・詩織~その2~

【東京深夜0時、結婚しない女】仕事の出来るアネゴ、その心を埋めるのは? 広告代理店勤務・詩織~その2~

東京に生きる、結婚しない女性のストーリー。今回の主人公は、広告代理店に勤務する詩織(36歳)。クライアントのイベントを成功させて、同じ年のバツイチ後輩男子が住むマンションにやってきた彼女は……?そして結婚しない理由とは?

 

☆☆☆

嗅覚と記憶はセットになっている。洋平のベッドに入りながら、詩織は記憶をただ追っていった。洋平はマンションの扉を開けると、「どうぞ、散らかっているけれど」と言い、黒い冷蔵庫から真っ赤なビールの缶を出し、「水代わりにどうぞ」と言って笑った。睡眠不足と疲労が重なっていた詩織は、その先の記憶があいまいだった。安心して、床に崩れるようにして眠ってしまったような気がする。そして気が付けば、見知らぬベッドで服を着たまま深夜0時に目を覚ました。

喉が渇いた詩織がリビングに出ると、巨大な一枚ガラスの窓から東京タワーが見えた。詩織が買った中目黒のマンションくらいの広さがあり、置かれているものは巨大なテレビと最新式のマッサージチェア、がっしりとしたワークテーブルの上には大きなモニターのMacと大量の本が置かれていた。

洋平の姿が見えなかったので、詩織はiPhoneの画面を見た。LINEとFacebookのメッセンジャーに何の数字もついていないことを見て、洋平とは会社支給のガラケーでしか連絡を取っていないことに気が付いた。キッチンのカウンターには、未開封の赤いビールの缶が置かれ、その下にはメモが挟んであり、“友人宅にいます 23:00”と書いてあった。

じゃ誘うんじゃねーよ、とつぶやいて、Gmailのアプリを立ち上げ、会社のメールから転送されてきた洋平のメールを見つけた。CCに入っている洋平のGmailアドレスをタップし、“今起きました。ありがとう。カギを開けっぱなしで帰るからよろしくね”と送信した。私的なメールは会社のサーバーを通さない。これは前に付き合っていた妻子持ちの男が詩織に教えてくれたことだった。

メールを送った後、キッチンにあったMoMAのマグカップを手に取り、ウォーターサーバーから水を出し2杯飲み干した。洗面所に行き、鏡を見るとマスカラとアイラインが落ち、土砂崩れを起こしたような顔の詩織が写っていた。おぞましさを感じ、入れっぱなしだったコンタクトを外して捨て、男性用の洗顔フォームで顔を洗った。メイクはそれでも落ちず、仕方なくキッチンにあったオーブオイルでメイクをすべて落とすと、悲しいほどのっぺりした和顔が現れた。青白い顔、たるんだ皮膚、目の下のクマ、皮膚に浮かんだ茶色のシミ、灰色のソバカスはつながって広がって世界地図のようだ。抜きすぎて原型をとどめなくなった眉が、おぼろげな視界でもはっきりとわかった。

家に帰ろうとしたのに、思わぬアクシデントが……

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