堅実女子ニュース&まとめ 【東京深夜0時、結婚しない女】お金はあるけど、孤独……コンサルティング会社勤務・響(37歳)~その2~

東京に生きる、結婚しない女性のストーリー。今回の主人公は、コンサルティング会社で働く、響(37歳)。

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スイスの老舗時計ブランドの時計が深夜2時を指している。運転手に芝浦の高層マンションの名前を告げると、響はすぐに眠くなった。それなのに、ベッドの中では眠れない。そんな状況が数か月間続いていた。

30階にある部屋に入ると、バッグを床に落とし、時計を乱暴に外してテーブルに置いた。コートとスーツを脱ぎ捨てて、布製のシンプルなベージュのソファーに倒れ込む。気持ちいい。これは、男の胸の筋肉を思わせる弾力感が気に入って、購入したものだ。

3年前にこのマンションを購入するときに、どうせ買うなら一生モノがいいと、高級家具店を10軒以上回った。しかし納得するものがなく、あきらめついでにひやかした、低価格で知られる量販家具店で運命のソファーを見つけるとは皮肉なものだ。

やたらと“させていただきます”を連発する、20代の男性店員の慇懃無礼な対応に鼻白みながら、従来の予算の20分の1である5万円のソファーは、買った翌日に到着した。高級家具店では入荷まで半年待ちと言われ、諦めたものもあったのに、量産品を売り続ける企業の底力を感じた。

到着してから毎晩、このベージュのソファーは、響の体を優しく受け止めた。うつぶせに寝て、化学染料の香りを吸い込むと、心がほどけて涙があふれた。100万円のソファーなら、涙や食べこぼしも気にしていただろうが、5万円のソファには、何の遠慮もなかった。

このときまで響は、自分のことを強い人間で、1人で生きていけると思っていた。しかし、このソファーに横たわっていると、学歴、会社、家、お金、世間からの尊敬……自分が信じていたものが不安定だということに気が付かされた。

今も無防備な姿でソファーに横たわり、「そう、私は孤独なのだ」とつぶやくと、いつものように途方もないツラさがやって来た。37歳の響には、ここ10年くらい恋人がいない。いいと思っていた男は、別の女と結婚してしまった。

どうしようもないとわかっているのに、流れる涙は止まらない

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