共感必至!誰もが知る“青春”とかいう季節の切なさがつまった逸品――映画『レディ・バード』

共感必至!誰もが知る“青春”とかいう季節の切なさがつまった逸品――映画『レディ・バード』

今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞と5部門にノミネートされた映画『レディ・バード』。『スリー・ビルボード』や『シェイプ・オブ・ウォーター』と肩を並べてオスカーを競った作品なのだから、きっと壮大なスケールの映画とか熱演に圧倒される力作なんでしょう?……違います。高校卒業を前にしたいわゆる多感な少女の、恋や友情や家族や夢を巡るイキイキとした青春映画です。え、それってちょっとフツー過ぎない!?……確かにそう、フツーです。でもなかなかに、得難い魅力を持った確かな逸品なのです。

『レディ・バード』 (c)2017 InterActiveCorp Films,LLC.//Merie Wallace, courtesy of A24

『レディ・バード』
(配給:東宝東和)●監督・脚本:グレタ・ガーウィグ ●出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ ほか TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中

【あらすじ】
2002年、カリフォルニア州サクラメントに暮らす17歳のクリスティン(シアーシャ・ローナン)。都会に憧れ東海岸の大学への進学を希望するも、父ラリー(トレイシー・レッツ)は失業中。経済的な理由もあって、母マリオン(ローリー・メトカーフ)は反対する。不満を抱えながらも、親友のジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)と楽しい時間を過ごすクリスティン。ある日、好青年のダニー(ルーカス・ヘッジズ)と知り合い、心惹かれるが……。

ひねりの効いた展開や一風変わったエピソードはなし!

映画『レディ・バード』は言ってしまえば、とてもよくあるお話です。主人公は都会に憧れる、ごく普通の女子高生クリスティン。彼女は自分に“レディ・バード”という名前をつけ、回りにもそう呼ばせています。

映画の冒頭はこんな感じです。ママの運転するクルマで、助手席のクリスティンはすぐそこに迫った進路の選択について話し合っています。車内にはどんよりとした不穏な空気が漂い、二人の意見は交わりそうにもない。「ニューヨークとかニューハンプシャーの大学へ行きたい」「授業料が割引になるから地元の市立大へ行くべきよ」。取りつく島もないママの態度にブチっ!と切れたクリスティンは、走行中のクルマのドアをがばっと開けて……飛び降りた!ええ!? なんだか威勢のいい、でもどこか予想のつかない物語になりそうな予感が期待をあおります。

これが初の単独監督作となるグレタ・ガーウィグは『フランシス・ハ』『20センチュリー・ウーマン』で女優としても注目される存在で(最近ではウェス・アンダーソン監督によるストップモーション・アニメ『犬ヶ島』にも声の出演)、前者では監督のノア・バームバックと一緒に、共同脚本としてクレジットされてもいます。この映画でも脚本を手掛けていて、彼女自身がこの映画の舞台と同じサクラメント出身。「本作内の出来事に実話は一つもない」というけれど、そこには明らかにつくり手の実感がこもっていて、登場人物の一人ひとりがそれぞれ一生分のドラマを抱えてそこに生きているようで、とってもリアルなのです。

それでいてひねりの効いた展開や一風変わったエピソードは特に見当たりません。そういうところで、勝負しているのではないのです。絆が深いからこそいつでもギリギリのところで衝突を繰り返してしまう母親との確執、親友と呼べる女友達との微妙なバランス、初めての恋のトキメキとすぐにやってくる絶望的な破局、初体験についての膨大な妄想と現実との乖離、生まれ育った故郷をあとにし、大人に向けて一歩を踏み出すときの死にそうなくらいの不安と抱えきれない期待について。これまでいくつもの映画で描かれてきた青春とかいう、振り返るとキラキラした季節の苦しくて笑えて切実な物語。だからこそ多くの人の共感を呼ぶのでしょう。

監督・脚本を手掛けたグレタ・ガーウィグ。34歳の初の単独監督作でこれを撮ってしまった才能ありありな人。まず脚本家として優秀。

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