堅実女子ニュース&まとめ 安田顕の“顔芸”だけにあらず。純な愛も血だらけの暴力もエグすぎる人間ドラマもアリ!な映画『愛しのアイリーン』

一作ごとに密度の濃いヤバさを演出する?田監督

?田恵輔監督はいろいろな意味でヤバイです。じつは監督デビュー以前は『鉄男 TETSUO』等で世界的に知られる塚本晋也監督の作品に、照明技師として参加していました。そして2006年自主映画『なま夏』で監督デビューを果たし、続く『机のなかみ』からもう台本の緻密さやエグい内容は完成されていました。エロさとグロさの潔いまでの共存、笑えるシーンのセンスは的確で、けれど人間ドラマとして描かれる闇はどこまでも深い……そんな感じ。それ以後は『純喫茶磯辺』『さんかく』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『麦子さんと』『銀の匙 Silver Spoon 』とオリジナルでも原作モノでも、そのテンションはいつでもMAX。タイトルを列記するだけで、「ああ、あれもこれも面白かったよな……」と、遠い目をしたくなるくらいに粒ぞろいな作品を連打しました。

そして2015年の『ヒメアノ~ル』です。森田剛が俳優として覚醒したこの映画を観たときは、本当にぶっとびました。濱田岳演じるモテない君の、ほろ苦ハッピーラブコメ!みたいな前半からは想像もつかない後半のあの……まあ観てみて下さい!ヤバいから!そして続く『犬猿』も、うまい!面白い!と一作観るごとに、次回作への期待がうなぎ上りな監督になったのです。

そんな?田監督の最新作がこの『愛しのアイリーン』でした。そして監督はこの原作のファンで、ずっと映画化を熱望していたのです。それだけに、映画の隅々に気合いがみなぎっています。まずキャスティングのすごさは安田顕とナッツ・シトイだけではありません。どれも、なんだかミラクル!みたいに他の人は考えられないくらいにハマっています。岩男の母ツルをもはや夜叉そのまんまな佇まいで演じた木野花から、故郷を離れたアイリーンがほっとできる唯一の相手であるお坊さんを演じて映画に爽やかな風を吹かせる福士誠治、ネイティブな英語を駆使して人でなしなヤクザもお手のものな伊勢谷友介、ツルが岩男の嫁に!と画策する時代錯誤なまでに農家の嫁として理想的な琴美を演じる無名の女優まで、一分の隙もありません。

これほど個性の際立った俳優たちをものすごく繊細に演出しながら、恐るべきラストへ向かって映画はさらに疾走していきます。でも……もうこれ以上は書けません。お願い、観て。

アイリーン役のナッツ・シトイ。マジでこの人、天才かも。

文・浅見祥子

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