堅実女子ニュース&まとめ 【私の場合】終電帰宅、残業の日々で疲弊……笑顔が消えた彼女が選んだのは会社からの脱出~その2~

「最初は泣きましたよ。勝手に涙が出てしまう。3回目くらいから、思考停止で乗り切るようになりました。それに、怒られると思うから、失敗を隠すようになるんですよね。割と大きなミスを自分で握ってしまい、自腹で菓子折りを買って取引先に行ったこともありました。あとは料金に組み込まれていないメニューをクライアントからごり押しされたり、メディア側のミスをかぶったり……とにかく時間がないからトラブルを抱えていました。でも、そんなことを上司に相談したら、罵倒されるに決まっています。だからひっそりと自分で解決していました。今、別の会社にいるのですが、この時の癖が抜けず、職場の人からの信頼を失いつつあります」

会社は、洋服の選び方、メイクのやり方などについてまで指摘していったそうです。

「服はきれいめカジュアルや明るい色の服を着るように言われました。どうも、社長は“キラキラ女子”の集団にしたかったらしいんですよ。でも私は見た目は派手ですが、中身は超地味……。服もあまりかまわないのに、上司と営業で外出した時に“あそこの女性みたいな服をきたほうがいい”などと言われていました。上司にそう言われると“はい”と答えてしまい、答えた以上はやらなくてはと、似たような服をファストファッションで買っていました」

それでも、どうしても直らなかったのは、尚美さんの笑い方。

「私、友達にもよく指摘されるのですが、笑い方がヘンなんです。“アハハ”と息を吐きながら笑えず、“ヒッ、ヒッ”という引き笑いをしてしまうんです。これは上司に毎日のように指摘され、“オマエの笑い方はキモい”とか、飲み会で私の笑い声が聞こえると“庄野は笑うな”と言われたりしていました。ある上司は、私の営業トークを録音していて、“ここでヒッヒッとお前が不気味に笑っているから、相手もキモがっている”などと言ってくるんです。確かにその声は、我ながらキモかったですね。この会社は、普通の人が“相手を傷つけるんじゃないかな”と忖度して言わないこと、やらないことをバシバシ指摘してくる。そこが魅力に感じていた部分もありました」

この会社に勤めている3年間、ほとんどの友達、恋人、健康を失ったと尚美さんは語ります。

「単純に会えないから、友達や彼氏はいなくなりました。睡眠と栄養不足から体調もボロボロに。アトピーが発症して、髪の毛も抜けるようになりました。何を見ても楽しくないし、スマホが震えると、ビクッとしてしまう毎日が続きました。朝が来ると憂鬱で、何に対しても笑えなくなってしまったんです。そんなある朝、会社に行こうとしたら息をするのが苦しくて……過呼吸になってしまったんです。身体は悲鳴をあげている、もう限界だと思って会社を辞めることにしました」

会社側は必至で慰留するだろうし、会社に対して愛着もあるのに、どうして辞められたのでしょうか。

「命が一番大切、と両親から言われたことが大きいかもしれません。あと、会社に行ったら絶対に引き留められるし、仲間の顔を見てしまうと、決意も揺らぐ。それに給料も悪くないから“急成長しているし、やはりこの会社にいよう”と思ってしまう。だから、会社に電話をして、ひたすら謝り倒しました。“体調が思わしくなく、本当にごめんなさい”と繰り返し、退職の意志をつたえました」

しかし、あっさりと退職は認められたのです。

「労働契約書に“1か月前に退職の意志を伝える”と書いてあったから、そのことで違約金などをとられると思っていました。しかし、実際は“あ、そう。お疲れ様”で終わりました。そのあまりのあっけなさに、拍子抜け。おそらく会社は私が労働基準局に駆け込まれるのを恐れていた様子でした。有休を消化し、退職の手続きをしに総務に行きました。そのときにわかったのですが、退職金がなかったんです。あんなに頑張ったのに1円もなくて、驚きました。そのことを言うと“退職金は、毎月の給料に上積みしていくって、入社時に説明したでしょ”と総務の女性に言われました。まあ何かトラップはあるかな、と思っていましたがこの程度でよかったと」

その後、尚美さんが一番スッキリしたのは、会社や取引先の人々のSNSブロック。

「SNSの友達が、600人もいたのに、一気に1/4に減りました。嫌な奴からザクザクブロックしていったのは楽しかったですね。今は別のIT関連会社に入社して、のんびりと仕事をしています。給料は少なくなりましたが、とても満足しています」

退職後は1か月程度自宅静養してから転職活動を開始。「頑張ればスキルアップできる」という気持ちで会社を選びそうになってしまったが、それでは二の舞になると感じ、仕事はヒマでも制度が整っている会社に決めた。

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