定年後しばらくたってから、両親が急に離婚すると聞き、驚いたのはひとり息子のタカハルさん(40歳)。高齢離婚の原因は何だったのだろうか。

それなりに仲がいいと思っていた
「僕は18歳で家を出ていて、それ以来、両親はずっと共働きでふたり暮らし。母は社交的な人なので、友だちもたくさんいたけど、父は物静かな人でね。でも家でひとりで読書をしたり釣りをしたりと楽しみもあったようなので、両親の行く末を心配したことはありませんでした」
タカハルさんが、父親から「離婚した」と聞いたのは2年前。ふたりとも定年を過ぎ、それなりにうまくやっていると思っていたところだった。
「僕も家庭を持っていますし、実家に帰るのはせいぜい年に1,2回。それまで離婚の気配を感じたことなどありませんでした」
父親にどうして、と聞いてもいろいろあってとメッセージが来ただけ。父は今まで通り家にいるというので、タカハルさんはしばらくたってから実家を訪ねた。
「一軒家にひとりでいる父は、どこか憔悴して見えました。今後は家を売って、高齢者住宅みたいなところに入ろうかなと言っていました。いろいろ聞いたけど、離婚の原因はよくわからなかった。親といえどもしつこく聞くわけにもいきませんからね。夫婦のことは夫婦にしかわからないんだろうなと思って、外の居酒屋でふたりで静かに酒を飲みました」