その時期、なぜか実家の大掃除までさせられるのが恒例なのだそう。冬は寒いから夏に大掃除をすると兄嫁が言うのだが、自分を使うためだとミホさんは思っている。
「とにかく古い家ですからぞうきんがけひとつとっても大変。ふだん、家ではぞうきんがけなんてしないし(笑)。周辺に住む親戚のお嫁さんたちは、大掃除というと『今日は子どもが風邪気味だから』なんて言って来ないのに、夕食時だけはみんなやって来る。なんの罰ゲームかというくらい私には過酷な状況なんです」
それに対して夫が実家に何も言ってくれないのも、ミホさんには苦痛だ。夫は実兄や親戚の男性たちと釣りをしたり昼間から飲んだりしているだけ。女が働くのは当然だと言わんばかりの態度に、いつもミホさんは腹が立つ。
「義母には毎年、『いつまでたっても、あんたは要領が悪い』と言われるんですが、夫はそれを聞いても知らん顔。『オレがとやかく言うと、もっと文句がひどくなるから』と言うのですが、ときにはかばってほしいですよ」
子どもがある程度大きくなってからだから、ここ5年ほど毎年、地獄のお盆を送っているミホさん。帰宅してから、来年はもう行かないと夫に宣言した。
「行きたいならあなたひとりで行くか、子どもたちだけ連れていって。とにかく私は行かないと宣言しました。夫の実家に行くと帰ってきてからも1ヶ月くらいは気分が悪いんですよ。これ以上、つきあいきれません」
夫は、来年になったら考えようというスタンス。この「夫の逃げ姿勢」がますますミホさんを苛立たせる。(ノンフィクションライター 亀山早苗/citrus)