ひとつ年上の男性と結婚して5年、3歳の子がいるカホリさん(38歳)。共働きのため、連絡を密にとり、協力しながら家事、育児をしている。
「夫は生活レベルではすごくいい人なんですよ」
カホリさんは苦笑しながらそう言った。生活レベルではいい人、という言い方が気になる。
「つまり彼は現実的なタイプなので、生活空間では夫の能力が生きる。でも夢のない人だから、未来を語るにはつまらないんです」
カホリさんには将来の夢がある。今は栄養士として勤務しているが、いずれは自分で惣菜屋か小料理屋をやってみたいのだ。
「もちろん夢です。でも夢はきちんと言葉にしつづけないと叶わないと思うんですよ。話していれば、どこかに協力者が現れるかもしれない。だけど夫は、『店をもつなんて、いくらかかると思ってるんだ』と現実レベルに急に引き戻してくる。夢を語れない人ってどうなんだろうといつも思います」
近所に、子ども同士が友だちで家族ぐるみでつきあっている家族がいる。その一家はアウトドアが好きで、昨年はキャンプに誘われ、カホリさんと子どもは参加したが夫は仕事を理由に来なかった。
「夫はまったく社交的ではないんです。一見、社交的に見せているけど実は内弁慶というか、かなりの人見知り。興味の幅が狭くて新しい経験は好まないタイプ。だからキャンプなんて行きたくなかったんだと思う。ただ、キャンプに興味がもてないからオレは行かないと言うならわかるんですよ。無理強いしようとは思わないし。でも夫は私にまで、『本当は行きたいんだけど、どうしてもはずせない仕事がある』と言うんですよね。夫の仕事は時期によっては繁忙期がありますが、そのときは決して繁忙期ではなかったから、わざわざ土曜日に出ていく仕事なんてないはず(笑)」
妻や子どもに威圧的になることはないが、自分の弱さを見せたくない、自分をもっと大きく見せたいという見栄っぱりな側面があるそうだ。

違い過ぎて重荷になって