ライフスタイル 高校野球大好き生活24年!青春の白球を追いかける選手を応援し続けて……【教えて!自分だけの趣味の世界】

前年の夏から、次の大会の選手をチェック

高校野球は秋にスタートします。夏の大会で3年生が引退し、新体制で臨むのが秋の大会。ここでよい成績を残した高校が春のセンバツ大会に出場することになります。夏の出場校がぎりぎりまで決まらないのにくらべ、春は選ばれてから大会当日まで日数が多少あるため、野球雑誌などではよく特集が組まれるそうです。

「まずはその雑誌を見て、その年にはどんな選手がいるのかをチェックするところから始めます。そこでいいなと思った選手に最初に接触できるのが初日の前日。リハがあるので全部の出場校の生徒がそろいます。会場に入ったり出たりするときにすこし隙があるので、応援のメッセージとメールアドレスを書いたお手紙を渡していました。……今思うと芸能人の入り待ちや出待ちとやっていることはわりと同じですね(笑)。同年代か少し上の女の子たちが、目当ての選手に会いたいと全国から集まっていました。すごい迫力ですよ」(梨沙子さん)

ちなみにその手紙を見て連絡が来ることはあったのでしょうか。

「返事はもらえることもありました。残念ながら恋愛に発展するようなことはなかったですね」(梨沙子さん)

同じような園ギャルはたくさんおり、現場(!)ではさまざまな友人ができたそう。同年代の女子高生が多かったとのこと。当時はSNSがまだなかったので、携帯電話の掲示板サービスなどで交流を深めたとか。

「ミーハー心から始めたファンとはいえ、野球もしっかり見て目がどんどん肥えていきます。ルールも詳しくなりましたし、選球眼も獲得できたかもしれません」(梨沙子さん)

高校を卒業しても野球の追っかけは続いてゆき……

こうして高校球児たちを追いかけているうちに、梨沙子さんの3年間の高校生活も終わりを迎えます。大学に進学した梨沙子さんは、高校野球も引き続きチェックしながら、軸足を大学野球や社会人野球に費やしたといいます。

「応援していた選手がプロに行くことはやっぱり難しいケースで、続ける場合は大学野球や社会人野球に進むほうが多いんです。だからそのままファンもついていくケースが多いですね。自分も大学生になって一人暮らしになり、アルバイトをたくさんすることができたので、あちこち遠征するようになったんです。友人たちも同じです。社会人野球がなければたぶん一生行かなかったかもしれない場所なんかもあると思います」(梨沙子さん)

そうしてずっと野球選手ファンを続けていくうちに顔見知りになり、友人関係になった選手もいて、彼らが野球をやめてしまった現在でもやりとりがあるとか。そうやってつながれるところが、高校野球という、特別ではあるけれども「部活動」を応援することの醍醐味だといえるかもしれません。

30歳くらいになると、追いかけていた選手のほとんどが引退してしまい、「園ギャル」生活もいったん終了したという梨沙子さんですが、現在も春のセンバツ、夏の大会が近づくとチェックは欠かさないそう。

「雑誌やテレビ中継、関連番組はいまでもやっぱり見てしまいますね。地方大会もテレビで中継していれば必ず見ます。甲子園に足を運ばなくなったのは、炎天下で応援する体力がなくなったのも大きいかも。当時活躍していてプロ入りした選手もほとんど引退しましたし、若いからこそできる趣味だったのかもしれません。でもまた行きたいなっていう気持ちは常に持っています」(梨沙子さん)

そんな梨沙子さんにとって、高校野球とはいったいなんだったのでしょうか。

「青春ですね! これはまちがいなく! 実際に汗を流したわけではありませんからただのミーハーだと思われてもしかたない部分もあるけれど、自分にとっての青春です! 野球きっかけで親の希望とは違う高校を希望したので、認めてもらうために必死で勉強もしました。進学した高校での生活は野球を抜きにしても本当に楽しかったです。いまでも連絡を取っている選手や園ギャルの友人もいて、一生ものです。すべて野球があったからだなあと思います」(梨沙子さん)

絶対に捨てられない高校野球関連の切り抜きを入れた段ボール数箱を抱えて、これからも彼女と高校野球の縁は、細く長く続いていきそうです。

いまでも高校野球好きを公言している梨沙子さんは、職場の上司や取引先のかたとの会話のきっかけとして野球の話題がとても役立つのだそう。意気投合した人や「詳しく知りたい」という人を案内がてら、地方大会に足を運ぶことが最近はまた増え、熱が再燃しつつあるといいます。

「再燃しつつある、というよりももうすでに燃えているかもしれません。新型コロナウイルスの感染拡大で開催すら危ぶまれるような状況が続いていますが、できることなら夏休みを甲子園観戦に充てたいとひそかに計画しています。以前のように選手にお手紙を渡したりはもうしませんが(笑)、『推し』の選手をさがして臨みたいですね。あの甲子園の独特の高揚感はやっぱり得難いですし。実は地方大会に足を運ぶ回数も一昨年より去年…と毎年増えてきているんです」(梨沙子さん)

一度ハマると抜けても帰ってきてしまう…「推し活」の沼はどこまでも追いかけてくるものなのかもしれません。

文/近藤とも

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