ライフスタイル ムーミン作者の半生を描く映画『TOVE/トーベ』は大人向け!許されぬ愛から生まれた「トフスランとビフスラン」

2021年10月1日(金)より映画『TOVE/トーベ』が全国の映画館で公開中です。世界中で愛されている「ムーミン」の作者、トーベ・ヤンソンの半生を描いた映画です。ムーミン谷の仲間たちが生み出された背景には、トーベの生き様が大きく影響していました。

「ムーミン」と聞くと子どもも楽しめるイメージがあると思いますが、この映画は完全に大人向け!自由を愛した一人の女性が生き抜く姿が描かれ、特に自立した女性のみなさんにおすすめです。

映画を見る前に知っておきたいキーワードや、主演女優アルマ・ポウスティさんが語る映画への想いをご紹介します。

見る前に知っておきたい!映画『TOVE/トーベ』のキーワード

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映画のはじまりは第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキ。トーベは生きることも危ういこの時代に「ムーミントロール」の物語を描き始めます。有名な彫刻家である父と衝突し、保守的な美術界からの自由を求めながらも翻弄される若きトーベ。世界を代表するアーティストになるまでの半生が、ムーミンの物語に多大な影響をもたらした彼女の恋愛とともに描かれています。

本国フィンランドでは公開から約2カ月間、週間観客動員数ランキングで連続1位を獲得!第93回アカデミー賞国際長編映画賞フィンランド代表としても選出され、数々の映画賞を席巻した大ヒット映画となっています。

アンナ=マリア・ウィルヤネン博士による「アトス・ヴィルタネン」「ヴィヴィカ・バンドラー」「トゥーリッキ・ピエティラ」の紹介。

2021年10月8日(金)にはフィンランド大使館にて映画『TOVE/トーベ』の上映を記念したメディアイベントが開催。フィンランドセンター所長アンナ=マリア・ウィルヤネン博士より映画やトーベ・ヤンソンの生涯が紹介されました。

映画を見る前に知っておきたいキーワードが「トーベが愛した3人」「フィンランドにおける同性愛」「女性の社会進出」の3つ。

1.トーベが愛した3人

ムーミンのキャラクターやストーリー制作に多くの影響を与えたのが、トーベが愛した3人です。作家であり政治家でもあった「アトス・ヴィルタネン」は1943年に出会い、彼は既婚者だったものの交際がスタート。「スナフキン」のモデルになったといわれています。舞台演出家「ヴィヴィカ・バンドラー」は1946年に出会い、激しく恋に落ちた同性の恋人。そしてグラフィックアーティスト「トゥーリッキ・ピエティラ」は「トゥーティッキ(おしゃまさん)」のモデルとなり、トーベと生涯をともにしました。今回の映画では「ヴィヴィカ・バンドラー」との情熱的な恋愛がフォーカスされています。

2.フィンランドにおける同性愛

フィンランドでは1971年に改正されるまで同性愛は犯罪でした。さらに1981年まで精神疾患として指定されていたという歴史もあります。そのためヴィヴィカ・バンドラーとは隠れて交際し、お互いにしか通じない言葉で会話をしていました。ムーミンの物語に登場する「トフスランとビフスラン」が秘密の言葉を話すのはここから発想を得ており、トーベの頭文字「To」とヴィヴィカの頭文字「Vi」を入れて名付けられています。現在のフィンランドでは同性愛の理解が進み、2017年には同性婚が合法化しています。

3.女性の社会進出

今でこそ男女平等の国として知られるフィンランドですが、女性の社会進出が進んだのは第二次世界大戦後。1950年代に近代化が進み、トーベは男性アーティストが女性のアシスタントを雇うというそれまでの常識から脱し、男性をアシスタントとして雇っていました。ムーミンの物語が大ヒットしたトーベは女性の地位を向上させ、フィンランドの女性にとって尊敬される女性の一人でもあります。トーベは「Freedom is the best thing(自由というのは最良のものである)」という言葉を残し、しがらみに囚われずに生き抜きました。しかし映画では好きなように生きられないリアルも表現され、見どころの一つです。

主演女優アルマ・ポウスティさん。

トーベ・ヤンソンを演じたのは、女優アルマ・ポウスティさん。「私はこの映画に参加したことをとても幸せで、誇りに感じています。トーベ・ヤンソンという偉大なレジェンドを演じることは少し緊張しましたが、誠実に強く生き抜く一人の女性を演じられたことが光栄でした」と語りました。

好きなムーミンのキャラクターを質問されると「どのキャラクターも無くてはならない存在」と答えつつ、姿の見えない女の子「ニンニ」に触れ、小さなキャラクターにも焦点をあてストーリーを生み出すトーベの発想力を称賛しました。

落ち着いたら行きたい!「トーベ・ヤンソンゆかりの地巡り」

北欧旅行フィンツアーによる「映画『TOVE/トーベ』を巡るオーランド島&ヘルシンキツアー」の紹介。

海外旅行が自由に行けるようになったら訪れたいのが、ムーミンの生まれ故郷・フィンランド!北欧旅行フィンツアーでは日本・フィンランドの往来が再開された場合、2022年6月に「映画『TOVE/トーベ』を巡るオーランド島&ヘルシンキツアー 8日間」を催行予定です。「ムーミン谷の彗星」のモデルとなったオーランド諸島の海岸線や、トーベの作品が数多く残るヘルシンキへと訪れる内容となっています。

☆☆☆

自由を試し、自由を愛したトーベ・ヤンソン。「人生はすばらしい冒険よ」。何か踏み出せないことがある時、そんなトーベの言葉に勇気をもらえる映画です。関東地区では東京「ヒューマントラストシネマ有楽町」「Bunkamura ル・シネマ」、千葉「シネマイクスピアリ」、神奈川「横浜ブルク13」「川崎チネチッタ」などで公開中。秋の一人映画にもおすすめですよ。

・映画『TOVE/トーベ』オフィシャルサイト
https://klockworx-v.com/tove/

取材・文/小浜みゆ