ライフスタイル SDGsを意識しすぎて…婚約破棄と退職を選んだ34歳女性【後編】

香子さん(34歳・求職中)は、SDGsを意識しすぎて、半年前に12年間勤務していた貿易関連会社を1か月前に辞めた。それより約1年前、2020年の8月には婚約者とも別れてしまった。

【これまでの経緯は前編で】

プラスチックだけがSDGsではない

婚約者が別れ際に言った「プラスチック問題だけがSDGsではない」という発言も引っかかり、婚約破棄以降は、それ以外の問題にも目が向くようになっていった。

「プラスチックの問題以外にも、女性の雇用問題、地域格差などなどいろんなことを考えるうちに、それらを繋げているのが、大量生産・大量消費だと行きついたのです。この世にある製品は、“安いこと”が最高の価値であり、そのことに疑問を持たない人がほとんど。生活者(消費者のこと)が、安さを求め続けるから、コストを下げ続けるために製品の品質をわからないように下げ続け、結局“安かろう・悪かろう”の商品が多くなります。うちの会社は貿易関連会社なので、現地の利益をギリギリまで圧縮して製造された製品や原料に関わることもあります。ここを私たち自身が考えなくてはいけないと痛感したのです」

とはいえ、社員ができることに限界はある。社会を変えたいという強い思いを、SDGs活動につなげていく。

「SDGsを一緒に考えたり、取り組んだりしている団体のセミナーに参加して、リアルに交流をしていく中でわかったのは、ひとつの考え方に様々な“流派”があるということ。例えば、プラスチック問題ひとつをとっても、私みたいに“プラスチック=悪いもの”と解釈し、単に使わないというタイプもいれば、プラの再生にはコストもかかりCO2を排出するから、アルミに移行するように促すタイプもいました。また、アルミを作るには大量の電気と熱エネルギーを使うのでペットボトルのままでいいというタイプもいて、千差万別。私は海洋動物の悲惨な状況に胸を痛めてこの問題に本格的に取り組み始めたのですが、いろんな角度からこの問題を語る人がいて驚きました」

プラスチックのことを考えれば考えるほど「今のままでいいんじゃない?」という気持ちにもなったという。

「心の中ではそう思いましたが、それは今までの自分を否定することになるし、この瞬間にも海鳥やウミガメは死んでいます。人間でいることが申し訳なく思ってしまうほど、思い詰めていました。そして、あの頃はコロナ禍で感染者が増えていたし、不安もあったんだと思います。尋常なメンタルではなかったのかも。あの頃は毎日のように怒っていて、誰も周りに近寄ってきませんでした」

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