ライフスタイル 親の遺品整理とリモート介護で痛感「大物家具の処分は70代で!」そのほかすべきことは?【後編】

今回は「田舎に住む親の介護問題」を取り上げる。今回お話を伺った沙織さん(仮名・35歳)は、都心のIT関連会社に業務委託として仕事をしている。父が死んだ遺品整理と、電車で片道3時間の実家に一人で残す母親の「リモート介護」についてお話をいただいた。

【これまでの経緯は前編で】

親が70代になったらやっておくべき、大型家具の処分

父の死後、弔問客への対応や遺品整理が大変すぎて、母は寝込んだという。

「母は父の遺品を見るたびに“まだ生きたかったよね”と泣くので、いっそのこと処分しようとしたのですが、別の業者に頼んでも数百万円はかかると判明しました。そこで、友人に相談し、きちんと査定してくれる業者さんに依頼しました。その結果、本は10万円、レコードは30万円、楽器(まとめて4つ)は4万円で買い取ってもらえました。楽器はメンテナンスをきちんとしていれば、40万円くらいにはなったそうです。でもそれらのお金は、マッサージチェアとウォーターベッドなどの大型家具の処分代に消えていきました(笑)」

そんなことをしているうちに母は寝込んでしまい、沙織さんが東京に帰れない日々が始まる。

「それでもリモートワークなので何とかなりました。これは父がインターネットに明るく、いち早くWi-Fiを入れてくれていたから。本当に父に感謝しましたね」

母は寝込んだことで筋力が衰えてしまったので「いかにも老人」のようになってしまったという。リモートワークだから実家で母の介護を続けた。

「父が亡くなって張り合いが亡くなり、ある時“だるい”と3日くらい寝込んだんです。母が行っていた活動も、行きつけだったお店もコロナ禍で休止になり、母は“私が行かなくちゃ”という気力がなくなり、そのまま半分寝たきり状態になってしまったんです。私が母を連れ出そうとしても、“いいよ、めんどくさいし”とまったく動かない。怒っても脅してもダメで、こっちもイライラしてきて…。母はトイレとお風呂と食事以外、立って動かなくなったことで、かなり弱くなってしまいました」

好きだった舞台のDVDを見ても好奇心が湧かない。舞台に誘いたくても、コロナ禍なのですべてやっていなかった。

「あっという間に数カ月が経ち、母は本当に弱くなってしまいました。好転したのは、コロナ禍がいったん落ち着いたとき、母が好きなテレビドラマのロケ地近くのホテルに、無理やり連れて行ったこと。私も不慣れな運転をして、母を気遣いながら、片道200キロくらい走りました。母は感激していたし、ホテルの人も特別に部屋食にしてくれるなどの対応をしてくれました。それが楽しかったらしく、生きる気力を取り戻したのです」

一年半のリモートワーク期間中、週に1回会社に行き、月に1回、母の好きそうな場所に連れて行くことを繰り返していたら、母の体調は好転。

「本人がめんどくさがっても、無理やり連れて行けば、それなりに楽しいようで。それを繰り返したのが良かったと思っています。これで父からの遺産の半分は使ってしまいましたが」

腹を割って話せる人は、母しかいないという現実に気付く

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