ライフスタイル 【小松市&能美市編】落ち着いたら…豪華観光タクシーで周る「加賀の國RICH体験ツアー」はいかが?

石川県の観光タクシー「加賀の國 観光グランキャブ」を利用した2泊3日の旅「加賀の國RICH体験ツアー」。今回は小松市と能美市を紹介します。

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「小松うどん」「塩焼きそば」でも知られる小松市

石川県の空の玄関口・小松空港は昨年開港60周年を迎えました。自衛隊との共用空港で、展望デッキからはF15戦闘機の離発着も見ることができます。さらに北陸新幹線も2023年度末に「小松駅」が開通予定。空から陸からとますますアクセスが便利に。九谷焼の原料となる「花坂陶石」の産地もあり、加賀藩お墨付きの名物「小松うどん」や、ソウルフード「塩焼きそば」も有名です。

九谷セラミックラボラトリー

2019年にオープンした「九谷セラミックラボラトリー」は製土工場、ギャラリー、体験工房など兼ね備えた複合型の九谷焼創作工房です。建物は隈研吾氏の建築設計によるもので、全面に石川県産の杉材、新国立競技場でも使用された石川県の先端ファブリックメーカー「小松マテーレ」の建築資材が使われています。

開館時間10:00~17:00。休館日は水曜・年末年始。入館料は一般300円、高校生以下の学生150円。体験工房では器づくりと絵付け体験を行っています。

九谷焼の原料である陶土「花坂陶石」が粉砕されて陶土(粘土)になっていく工程を間近に見られる製土工場が見どころ。岩石は触ることができて、細かい粒子で軽いことが体感できます。

九谷焼は上絵が発達した焼物で、描いて焼く工程を多くて5回~10回ほど繰り返すため、粒子同士が結びついて割れない細かい粒子の石が九谷焼に欠かせないそうです。粘土を作るときに出る不要な石は、館内のサイン周りに使用しています。

九谷焼ができる工程も立体や映像で見ることができます。ろくろ、鋳込み成型など窯元ごとに得意分野が異なり、粘土を作る人、素地(ボディ)を作る人、絵を塗る人、兼業する人など、分業制度が九谷焼の特長のひとつです。

素焼きから白い釉薬をかけて1250℃で焼き上げると白いつやつやした表面の素地になり、上絵の作家に渡されます。絵付けでは和絵の具の場合、粉末の絵の具を調合して作りますが、塗った状態と出来上がりの色が異なるため、色見本を見ながら調合するそうです。調合で出す色なので、同じ紫でも工房ごとに出る色が異なるのも面白いですね。

「花坂陶石」の岩石を砕いて陶土にしていく様子。サインも残った石で製作。絵付けでは下絵、色塗り状態、完成品と段階ごとに様相が変わるのがわかります。

「セラボギャラリー」では作品を展示しており購入もできます。九谷焼といえば鮮やかな色や文様のイメージがありますが、「ETHNI9」と「福LUKCY」は従来のイメージを覆す斬新なオリジナルブランド。

塩焼きそば発祥の地である小松市はおいしい中華料理店が多いとのことですが、おうち時間でも中華料理が楽しめる器が「ETHNI9」。ミニマルなデザインで中華以外にも幅広く使える器です。

九谷焼は縁起物をモチーフにした絵柄が多いですが、今の世代にもわかりやすいような新しい縁起物のキャラクターを描いたのが「福LUKCY」。石川県在住のイラストレーター・饅頭 very muchさんのひょうたんをモチーフにした「ひょうたん」(接尾語の「たん」のアクセントで♪)の器はユニークですね!

プリントしたものを貼って焼く転写は他の焼物ではほとんど見られない、九谷ならではの技術。色も豊富で自由自在に作ることができるそうです。「福LUKCY」や、浅草の絵師・絵僧さんによる「九九谷」も転写が主流です。

「ETHNI9」、「福LUKCY」と「九九谷」。作品の一部は公式オンラインショップでも販売しています。

九谷セラミックラボラトリー

TAKIGAHARA FARM

「TAKIGAHARA FARMは、これからの時代に向けて新しい生き方、働き方を自然や、農、アートを通じて感じる場所です。古民家をリノベーションした宿泊施設、レストラン、カフェ、土蔵を改装したバー&ラウンジで構成されています。敷地内には工房もあり、地元の「山中漆器」の職人が漆器を製作している風景も見ることができます。

JR加賀温泉駅から車で15分、小松空港、JR小松駅から車で30分。

母屋の「TAKIGAHARA CRAFT&STAY」の建物は築100年の古民家を改装した、時代を感じる建物ですが、足を踏み入れると、ザハ・ハディッド、 アキッレ・カスティリオーニ、エーロ・サーリネン、ジャスパー モリソンらの家具が配置され、デザイナー愛好家にはたまらない空間が広がります。

宿泊はドミトリーが中心で、16台のバンクベッドを備えた男女共用の「Bunk Bed Room」(1泊あたり1名・5500円)、2段ベッド2台で4名まで宿泊可能なプライベートルーム「Band Room」(1泊あたり1名・9000円、2名・1万4000円、3名・1万9000円、4名・2万4000円)、クイーンサイズのベッドと2段ベッドの4名まで宿泊可能なプライベートルーム「Director’s Suite」(1泊あたり1名・1万8000円、2名・1万8000円、3名・2万3000円、4名・2万8000円)があります。

左上・ラウンジルーム、右上・「Director’s Suite」、下段は「Bunk Bed Room」とデスクスペース。プライベートルームは室内にデスクが設備されています。

築80年の石蔵を改装した2階建の宿泊棟「TAKIGAHARA HOUSE」は1組(4名まで)限定。2階はベッドルーム、1階はキッチン、冷蔵庫、ソファを備えたリビングとバスルーム。1泊あたり1名・2万2000円、2名・2万5000円、3名・2万8000円、4名・3万1000円。

周囲がことさら静かになる冬場は、だれにも邪魔されず集中できる空間なので、思索にふけったり、創作したりするのにもってこいの場所かも。

「TAKIGAHARA CAFE」では、小松産のそば粉を使ったガレットを中心に、近隣で採れた旬の野菜や果物、敷地内で育てている鶏の玉子などを使ったオムライスなどを提供。また、「CRAFT&STAY」のディナーはイギリス人の専属シェフが作る、北陸ならではのガストロノミーが堪能できます。ディナーのみの利用も可能(要予約)です。

気軽に立ち寄れるカフェ。手作りシロップを使った季節のジュース、摘みたてフレッシュハーブティーもおすすめです。右は小松産そば粉を使ったガレット。

滝ヶ原の自然に魅せられて都会や外国から移住してきたスタッフが運営を支えており、コロナ禍以前は外国人の滞在も多かったそうで、異文化との交流も魅力です。

私が訪れたときは雪が降りしきる一面銀世界でしたが、四季折々に変化する自然の中で、ハイキングをしたり、畑仕事を体験したり、ワーケーションとして過ごしたりと、思い思いの滞在が楽しめます。

TAKIGAHARA FARM

滝ヶ原石切り場

小松市の産業、文化を支える礎となったのが石文化。TAKIGAHARA FARMでも滝ヶ原の石が施設の随所に使われていました。

滝ケ原町の石切り場から産出される滝ヶ原石は金沢城や小松城の石垣に利用され、かつては近畿地方や北海道方面まで運ばれていました。戦後の最盛期には町内12箇所での採掘が進み、滝ヶ原町にとって欠かせない産業となっています。

1814年ごろから採掘を開始した滝ヶ原で、3番目に始まったとされる「西山 石切り場跡」は今も見ることができます。また、現在も採掘が続けられている「滝ヶ原石切り場」は見学も可能です。

左が道路から見える「西山 石切り場跡」、右は「滝ヶ原石切り場」内部。

小松市 石切り場 

旅亭懐石 のとや

北陸最古の温泉郷・粟津温泉にある「のとや」は応長元年(1311年)に創業した、700年もの歴史を持つ温泉宿です。地下源泉で地下5mから湧き続ける湯は、皮膚の角質を軟化させる効果があるとされ、肌がきれいになる“美人の湯”として知られています。温泉の温度調節等の管理を行う「湯守人」も代々受け継がれています。

2017年にリニューアルされた館内は明るい雰囲気で女性にもおすすめ。

男性用、女性用の大浴場、貸切露天風呂があり、浴場に続く通路「おんせん通り」は和モダンなインテリアや生花で彩られ、湯上りにくつろげる休憩するスペースも。九谷焼の器に盛られた華やかな加賀料理も楽しみの一つです。

上段はロビーラウンジ、女性浴場、下段は「おんせん通り」。

遺跡が多く、松井秀喜さんの出身地としても知られる能美市

加賀平野のほぼ中央に位置する能美市は、国指定史跡の能美古墳群をはじめとする、石川県内でも「遺跡の宝庫」と言われるほど遺跡が密集している地域。九谷焼の窯元や作家も多く、開湯1400年の歴史がある辰口温泉郷は金沢から一番近い温泉地として親しまれています。松井秀喜さんの出身地で「松井秀喜ベースボールミュージアム」もあります。

KAM能美市九谷焼美術館

連携する4つの九谷焼施設を総称した「KAM能美市九谷焼美術館」。中核を担う「五彩館」は360年以上の歴史を持つ九谷焼の草創期から現代までの歴史、作品を紹介する美術館。2018年にリニューアルされ、展示室は5色に色分けしてわかりやすく構成しています。

朱赤の間には、明治時代に多く輸出された九谷焼を展示。オリエンタルな絵柄で鮮やかな色合いが特徴です。

紫の間では、「九谷焼ウルトラマンシリーズ十周年展」(3月18日まで)を開催中。ウルトラマンシリーズの脚本を担当していた佐々木守さんが能美市出身だったことから、九谷焼とのコラボレーションが2011年に誕生。10周年を記念して、能美市で活躍している作家を中心に30体ほど展示しています。また、「体験館」ではウルトラマンシリーズなど、フィギュアの素地に絵付けしてオリジナルの作品を作る体験もできます。

同じバルタン星人でも作家によって作風が異なりさまざまな個性がありますね。

2階の黄色の間では、九谷焼の原材料や絵筆、絵の具、文様など制作工程の資料を展示。「九谷毛筆細字」は、虫眼鏡を使わないと読めないほどの細かい文字がびっしりと書き込まれており驚きでした。

直径3㎝の中に百人一首を収めた洋盃など超絶技巧が駆使された九谷毛筆細字。作業は裸眼で行うというのもびっくり。九谷焼の技術の高さが活かされた作品ですね。

ロビーの陶壁や館内の表示も九谷焼。ミュージアムショップでは、マスキングテープやアクセサリーが女性に好評です。バーベキューなどで使える九谷文様の紙皿(6枚入り・550円)も人気の商品です。

本物の九谷焼と見間違えそうな鮮やかな色の紙皿。使い捨てするにはもったいないかも。

九谷陶芸村

10軒の九谷焼店舗が並ぶ九谷陶芸村。店それぞれに独自の品ぞろえがあり、店の外にお値打ち品のワゴンが出ていることも。春と秋に開催される「九谷茶碗まつり」「陶芸村まつり」は九谷焼をお買い得に入手できるチャンスです。

オリジナルブランド「ハレクタニ」(画像左)や、九谷青窯、青郊窯の商品を販売している「北野陶寿堂」。

能美ふるさとミュージアム

2020年に開館した能美市の総合博物館。旧石器時代から昭和まで能美市の歴史、暮らし、自然がわかりやすく展示、解説されています。縄文時代の食べ物を実際に学芸員さんが作る動画もユニーク。展示されているジオラマは人工物ですが、本物の自然も感じられるようにと、館の窓を高く取っており、四季折々の本物の自然も同時に楽しむことができます。

開館時間9:00~17:00、休館日は月曜、第3火曜、年末年始。展示観覧料は一般300円、65歳以上と20名以上の団体は200円、高校生以下は無料。

能美ふるさとミュージアム

宮本酒造店

六代目の後藤由梨さんと夫の仁さんの夫婦で酒造りをしている明治9年創業の「宮本酒造店」。由梨さんの父の代から続く「福の宮」と、「夢醸(むじょう)」の2銘柄を作っています。仕込み水は蔵内で湧いている白山水系伏流水の井戸水で、酒米は地元の「五百万石」を中心に、一部兵庫県産「山田錦」も使用しています。

建屋は明治40年に建てられて、由梨さんも幼少のころまで住んでいたそうです。
「宮本酒造店」六代目の後藤由梨さん。

日本酒のほか、能美市の特産品「加賀丸いも」を使った焼酎「のみよし」も製造。石川県内でいも焼酎の免許を持つのは宮本酒造店だけとのこと。さつまいもの焼酎とは異なり、クセがなくすっきりとした優しい香りが特徴で、芋焼酎が苦手な人にも、日本酒好きの人にもおすすめできる焼酎です。

日本酒を煮切った「美酒のだし」も人気の商品。鍋で煮込むと具材にしみこんで、つけたれ無しで食べられます。300mlの濃厚だしはうまみが濃縮していて、卵かけご飯や炒飯の隠し味、ドレッシングにも使えます。

酒粕はひそかな人気商品。搾りすぎないため酒感が残っており、軽く焼いて食べると甘くて美味!味噌汁に溶いて入れるとコクが出て、お肉やお魚を漬けておいてもおいしくいただけます。ただし、酒感が強いので食べすぎやお酒に弱い人は注意!

日本酒「夢醸」、加賀丸いも焼酎「のみよし」、「美酒のだし」と酒粕。蔵での販売のほかネット通販もあります。銀座の石川県アンテナショップでも一部取り扱っています。

酒蔵見学も可能です(要予約)。重厚な建屋で由梨さんの日本酒のレクチャーを聞き、酒蔵見学、店舗での試飲(コロナの状況により中止の場合もあり)や買い物など、所要時間は約1時間。時期があえば、大きな発酵タンクの中で、ふつふつと発酵するもろみの音や香りを体験できます。

発酵するもろみと、タンク内の分量を測る蔵特有の定規。

宮本酒造店

大口食堂

2011年に能美郡川北町のご当地グルメとして生まれた「かわきた味噌豚どん」。川北町特産のいちじくを使った無添加ジャムと、地元産大豆から作った無添加味噌を混ぜ合わせた“いちじく味噌”を豚肉にからめて、ご飯にのせたどんぶりです。いちじくは血圧降下作用やアンチエイジングが期待でき、タンパク質分解酵素を含むことから肉料理との相性がよく、ビタミンが豊富な豚肉は疲労回復にも。

取扱店のひとつ「大口食堂」の「かわきた味噌豚どん」(750円)。ヘルシーなのにボリュームたっぷりなギルトフリーなどんぶり。
外観も内装も昭和の懐かしい食堂の雰囲気そのまま。ラーメン、うどん、焼肉、丼と庶民的なメニューが揃っているもうれしいですね!

かわきた味噌豚どん提供店

文/阿部純子