柳原桑子先生のアンサーはこちら。
法律的な理屈の上では、離婚調停中で離婚は成立していなくても、婚姻関係が破たんした以後のことであれば、配偶者以外の男性と交際しても、配偶者との関係での背信行為にはならないので、慰謝料の問題はありません。
ここにいう「婚姻関係破たん」とは、もはや婚姻関係を円満に修復する余地がない状態を指しますが、実際のところ、調停や裁判において破たんしていると評価されるかどうかが問題となります。
例えば、同居中の場合と、別居している場合で比べると、夫婦には同居義務があるのに、別居しているわけですから(単身赴任等理由あるものはのぞきます)、別居している方が破たんと評価されやすいです。
また、別居さえしていれば常に破たんしていると評価できるわけではなくて、別居して数か月という場合と、数年経っているという場合では、より長期間別居を続けている方が、破たんと評価されやすい傾向にあります。さらに、相当期間別居していても、その間も適宜交流をもっている場合には、破たんしているとは評価されない可能性もあります。
よって、別居しているだけでなく、その間の関係性等も総合的にみて破たんの有無は評価されるものです。
よく、“婚姻関係が破たんしたといえるには、何年別居すればよいのか”という質問を受けるのですが、ケースバイケースなので、お答えはできません。
話を戻しまして、理屈では、すでに婚姻関係が破たんしたと評価され、その後に他の男性と交際を始めたと認定された場合には慰謝料の問題にはなりません。しかし、実際にはそのように評価されるための事実の立証ができるであろうかが、一番の問題となります。
夫と同居中にすでに知り合っていた男性と、別居後に恋仲になったという場合もあるでしょう。しかし、“このときから交際が始まった”という明確な線引き、そしてその立証は困難であることが多いです。
相談者のケースでは、別居してから半年が経過し、このころから他の男性と交際を開始したとあります。その時点で客観的に見て婚姻関係が破たんしているものと評価されるなら、慰謝料の問題にはなりません。
では、婚姻関係が破たんしていると言えるかどうかと聞かれたら、諸事情を総合的に見て評価されるものですので、なんともいえません。
その前に、婚姻関係を解消し、その後であれば交際は自由ですから、今後の身の振り方については、あせらず地道に考えられたらと思います。

高校の同級生のバツイチ男子に、離婚の進め方を相談するうちに、友情が恋心に変わっていったとか。(写真はイメージ)