恋愛&結婚 地元と母と過去、すべてと決別! 40歳女子のコロナ禍上京物語~その2~

東京都によると、都の人口は 5か月連続で減り続けているという。2020年12月1日現在の都内の人口は推計で1396万2725人であり、11月と比べると1000人余り減っている。リモートワークで職住接近の必要がなくなり、住環境がいい地方を選ぶ人が増えているのだ。

そんな中、2020年の5月末、東北のある地方から、過去と母を捨てて上京してきた山本紗香さん(仮名・40歳)にお話を伺った。

【その1はこちら

紗香さんは5月ゴールデンウィークが終わり、残務処理を済ませた5月末に、家を出る。母親のところには、手紙と1千万円以上の貯金を置いてきた。出る前に、自治体の生活課の担当者に母のことを頼んだのだという。

「まあ担当者は私の高校の同級生で、私のことをよく知っていたんです。就労支援や生活保護のことまで頼みました。母への手紙には、“今までありがとう。さようなら。もう連絡を取りません”とだけ書いて出てきました」

紗香さん自身が持ち出すお金は、クルマを売ったお金と、退職金を充てようと思った。

「クルマが意外と高く売れて、退職金と合わせると100万円くらいになったんです。マンガの『凪のお暇』が、私の地元脱出のバイブルで、5月から12月まで何百回も読みました」

8月までは、母親が死んではいないだろうか……と思って、夜中に目が覚めることが多々あった。

「それまでの人間関係を断ち切ろうと、スマホを解約し、新規に契約しました。生活課の友人にも教えませんでした。彼女はきっと母から“ねえ、紗香の連絡先を教えなさいよ”と言われたら、いい顔をしたいがために教えてしまうと思ったから。“親は大切にして当たり前”が、親の金で大学まで行った彼女の常識。スマホの番号を変えるのは、過去を断ち切ることでもありました。過去の友人の番号がそっくりない。最初は母のことが気になって、役場のサイトを見ていたんですが、東京の生活が目まぐるしくて、やがてそれどころではなくなりました」

紗香さんは高卒で、年齢も40歳と採用は厳しい条件がそろっている。しかし、22年間ホテルで勤務しており、機転が働き、一通りの事務作業と接客ができることが評価された。

「ホテルってハードだけど、マルチタスクなスキルを身に着けるにはいい職場だったんですよ。カードや電子マネーの決済業務はお手のものですし。お金をもらいながら、社会人として必要なスキルを全部身に付けられたありがたい職場。それに、敬語が完璧に使えますし、ホスピタリティと距離感のバランス感覚もわかる。東京に出てきてから面接を受けた会社は5社ありましたが、すべて内定をもらいました」

アラフォーの無職女子がたった一人……住む場所はどのように決めたのだろう?

「『凪のお暇』のように、立川のアパートに住みたいと思って不動産屋さんに行ったら、かなりの大都会でびっくりしました。あと、物件が新しくて高いところが多い。それに、立川って、東京駅や上野駅から遠いんですよね。東北人だから、そこから遠いと、メンタル的に不安になってしまうことがわかったんです。今は、浅草エリアにあるシェアハウスに住んでいます。家具付きで家賃6万円ですよ。初期投資が全然要らないので助かりました。海外の人が住んでいてとても楽しい。地元で家を借りるとなると、審査が厳しかったり、いろんなハードルが高いのですが、東京ってビックリするくらい簡単。お金があれば、すぐに家を借りられるんですね」

シェアハウスから、新橋エリアにある会社に、毎日通勤している。

「地元でワイドショーを見ていたときは、東京は仕事も人もいなくなり、ゴーストタウンみたいになっていて、みんな厳戒態勢で、人がバタバタ死んでいるイメージがありましたが、みんな元気に出勤して、飲み会とかもしている。“な~んだ”と思いました」

5月末に東京に出てきて、7月から現在の会社に正社員として就職した。母の戸籍から抜いて、自分の戸籍を作り、住民票も東京に移動。“紙切れ一枚”のことだけれど、全く気分が変わりました」

同僚男性からのアプローチが迷惑

1 2